この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第12章 ミスオブ沙棗の涙 〜遠く儚い恋の記憶〜
「…おめでとう、紫織…。
とても美しい花嫁さんだ…」
モーニング姿の亮介は、日頃の豪放磊落さはどこかへ行ったかのようにしみじみとした様子で、紫織の肩を抱いた。
「…お父様…」
紫織の艶やかな白い頬を撫でながら、亮介が感慨深く呟いた。
「お前が本当にこんなにも素晴らしい名家に嫁ぐことになるとは…な。
曄子さんからこの縁談を聞かされた時は願ってもないと喜んだが…いざお前が嫁に行くのかと思うと…実に寂しいものだよ」
紫織は思わず笑った。
「お父様ったら…。
新居は世田谷だし、これまでよりずっとお父様にお会いできるわ」
「そうだな。それはとても嬉しいよ」
光り輝くような美しい娘の姿を見つめる。
「お前はお父様の誇りだよ」
…そして、申し訳なさげに紫織に言った。
「…私たちは決して良い親ではなかった。
理想的な夫婦の形をお前に示してやれなかった。
むしろ、寂しい思いばかりさせただろう。
こんな両親のもと、お前は本当に立派に成長してくれた。
心から感謝するよ」
…それから…
と、やや声を潜める。
「…済まなかったね…」
「…お父様…?」
紫織は美しい眉を寄せる。
亮介はそっと紫織の耳元で囁いた。
「…あの高校教師のことだ」
とても美しい花嫁さんだ…」
モーニング姿の亮介は、日頃の豪放磊落さはどこかへ行ったかのようにしみじみとした様子で、紫織の肩を抱いた。
「…お父様…」
紫織の艶やかな白い頬を撫でながら、亮介が感慨深く呟いた。
「お前が本当にこんなにも素晴らしい名家に嫁ぐことになるとは…な。
曄子さんからこの縁談を聞かされた時は願ってもないと喜んだが…いざお前が嫁に行くのかと思うと…実に寂しいものだよ」
紫織は思わず笑った。
「お父様ったら…。
新居は世田谷だし、これまでよりずっとお父様にお会いできるわ」
「そうだな。それはとても嬉しいよ」
光り輝くような美しい娘の姿を見つめる。
「お前はお父様の誇りだよ」
…そして、申し訳なさげに紫織に言った。
「…私たちは決して良い親ではなかった。
理想的な夫婦の形をお前に示してやれなかった。
むしろ、寂しい思いばかりさせただろう。
こんな両親のもと、お前は本当に立派に成長してくれた。
心から感謝するよ」
…それから…
と、やや声を潜める。
「…済まなかったね…」
「…お父様…?」
紫織は美しい眉を寄せる。
亮介はそっと紫織の耳元で囁いた。
「…あの高校教師のことだ」