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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
…こんな言い方は八つ当たりだとわかっているのに、言葉がとめどなく溢れる。
「お母様も千晴お兄ちゃまも私をすごく子ども扱いしてる!
馬鹿にしてる!
私はもう十八よ⁈いつまでもお母様がいないと何もできない赤ちゃんじゃないわ!
自分の進路は自分で決めるわ!
まだ何がしたいか分からないけれど、大学に入って見つける!
頑張って見つける!
と、友だちだって、自分で見つけて作る!
人見知りだって、恥ずかしがり屋だって、自分で直す!直したい!
だから自分で選ぶ!自分で…何もかも自分で選びたいの!
私の…私の自由にさせて欲しいの!」
握りしめた拳に、温かな涙の雫が落ちる。
「紗耶ちゃん…!」
紫織が蒼白な貌で、テーブルから立ち上がった。
近づこうとする紫織を振り切るように、ダイニングから走り去る。
「一人にさせて…!」
「紗耶ちゃん、待って!」
追い縋ろうとする紫織に
「紫織さん…。そっとしておいてあげよう」
声をかける千晴の気配を背中で感じ、えも言われぬ哀しみが更に増す。
ダイニングを飛び出し、長い廊下を走り去る。
「あれまあ。紗耶お嬢ちゃま、どうされたんですか?」
キッチンから貌を出し、目を丸くするテルを無言で振り切り、駆け抜ける。
南棟の突き当たり…自分の部屋に飛び込むと、鍵を掛けてその場に座り込んだ。
涙がとめどなく流れ落ちる。
…あんな八つ当たりして、恥ずかしい。
そう…あんなの八つ当たりだ。
私は…お母様が羨ましいんだ。
密かにずっと一途に愛し続けてくれる千晴お兄ちゃまがいるお母様が羨ましくて仕方がないんだ。
だから、私の気持ちも知らないで、星南に行かせようとするお母様が腹立たしかったんだ。
ぜんぶ…ぜんぶ私の醜い、情けない嫉妬だ。
美しくない自分の劣等感の現れだ。
…醜い紗耶、可愛くない紗耶、馬鹿な紗耶…。
こんな自分が、千晴お兄ちゃまに愛される訳がないのに…。
紗耶は暗い部屋の中、蹲りながらいつまでもいつまでも泣き続けたのだった。
「お母様も千晴お兄ちゃまも私をすごく子ども扱いしてる!
馬鹿にしてる!
私はもう十八よ⁈いつまでもお母様がいないと何もできない赤ちゃんじゃないわ!
自分の進路は自分で決めるわ!
まだ何がしたいか分からないけれど、大学に入って見つける!
頑張って見つける!
と、友だちだって、自分で見つけて作る!
人見知りだって、恥ずかしがり屋だって、自分で直す!直したい!
だから自分で選ぶ!自分で…何もかも自分で選びたいの!
私の…私の自由にさせて欲しいの!」
握りしめた拳に、温かな涙の雫が落ちる。
「紗耶ちゃん…!」
紫織が蒼白な貌で、テーブルから立ち上がった。
近づこうとする紫織を振り切るように、ダイニングから走り去る。
「一人にさせて…!」
「紗耶ちゃん、待って!」
追い縋ろうとする紫織に
「紫織さん…。そっとしておいてあげよう」
声をかける千晴の気配を背中で感じ、えも言われぬ哀しみが更に増す。
ダイニングを飛び出し、長い廊下を走り去る。
「あれまあ。紗耶お嬢ちゃま、どうされたんですか?」
キッチンから貌を出し、目を丸くするテルを無言で振り切り、駆け抜ける。
南棟の突き当たり…自分の部屋に飛び込むと、鍵を掛けてその場に座り込んだ。
涙がとめどなく流れ落ちる。
…あんな八つ当たりして、恥ずかしい。
そう…あんなの八つ当たりだ。
私は…お母様が羨ましいんだ。
密かにずっと一途に愛し続けてくれる千晴お兄ちゃまがいるお母様が羨ましくて仕方がないんだ。
だから、私の気持ちも知らないで、星南に行かせようとするお母様が腹立たしかったんだ。
ぜんぶ…ぜんぶ私の醜い、情けない嫉妬だ。
美しくない自分の劣等感の現れだ。
…醜い紗耶、可愛くない紗耶、馬鹿な紗耶…。
こんな自分が、千晴お兄ちゃまに愛される訳がないのに…。
紗耶は暗い部屋の中、蹲りながらいつまでもいつまでも泣き続けたのだった。