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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
夫婦の広々としたベッドルームは、常にハウスキーピングが完璧になされている。
ダブルベッドに敷かれた真っ白なリネンは皺一つなく綺麗に整えられていた。
その上に、政彦はまるで壊れ物を抱くように大切に紫織を横たえる。
…それは、新婚旅行の初夜から変わらぬ習慣だ。

政彦は決して紫織を荒々しく抱いたり、無理強いしたりはしない。
紫織の意に染まぬことは絶対にしようとしない。
閨の中でも紳士的な政彦に、紫織は最初から安心感を抱いた。
だから夫とのセックスは嫌ではなかった。

…けれど…

「…紫織…」
紫織の耳朶を甘噛みする夫の吐息が、火傷しそうな熱を帯びる。
その指が紫織の白いネグリジェの胸元に伸びる。
四十を迎えた紫織だが、未だに夜着は白い上質なコットンのネグリジェだ。
それは政彦が
「紫織はお姫様みたいな白いネグリジェがよく似合うよ…。
初々しくて可愛い」
と気に入っているからだ。

「…愛しているよ…」
紫織を求めるとき、政彦は必ず愛の言葉を囁く。
…とても真摯な…誠実みを帯びた声で…。
そして、週に一度は必ず紫織を愛おしげに抱く。
倦怠期を覚えたこともないようだ。
もちろん浮気をしたこともないだろう。
出会ったときから少しも変わらぬ熱く濃密な愛を、紫織はいつも感じている。


…けれど…

『…愛しているよ、紫織…』

…ミスオブ沙棗の残り香の中、あの美しい榛色の瞳が、端正な優しい微笑みが、美しい低音の声が、夢のように…いや、生々しい現実のように甦る。

…藤木先生…!

紫織は怯えた子どものようにその瞳を見開き、夫を渾身の力で突き放した。

「嫌…!」




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