この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
「…はい。紫織です。
…貴方?」
紫織の声に、藤木が微かに眉を寄せた。

「…ええ…ごめんなさい。連絡もしないで…。
もうお帰りになったの?」
話しながら藤木に瞳で合図をし、席を立つ。

…いいよ、話しておいで…
というように、藤木が形の良い唇に微笑みを浮かべ頷いた。

紫織は小さく会釈をして、カフェの外…広いロビーに出る。

『珍しく早く帰れたら君がいなかったから、どうしたのかな…と心配になってね…』
優しい政彦の声に、心臓の鼓動が速くなる。
スマートフォンを握りしめる手に力が入る。

「…ごめんなさい。
…有楽町にアロマテラピーの講演会を聴きに来ていて…そこでお友だちに偶然会ったので、お茶をしていたの。
…でも、すぐ帰るわ」
『構わないよ。
せっかく会ったのならゆっくり食事でもしておいで。
僕の方は気にしなくていい。
持ち帰りの翻訳仕事もあるし…君の美味しい料理をいただいたあと、仕事をしているよ。
…今日の晩御飯は何かな?』

…優しい言葉に、胸が詰まる。
「…夏野菜のラタトイユと鯵の南蛮漬けよ。
ふたつとも、冷やした方が美味しいから冷蔵庫に入っているわ。
それからテルさんが茶巾寿司を作ってくれたわ…」
『それはいい。ご馳走だな。
…ゆっくりいただくよ。
君もお友だちと楽しんでおいで…』
「…ありがとう…貴方…。
じゃあ、よろしくお願いします…」
通話ボタンをタップしようとした時…

『…愛しているよ、紫織…。
じゃあね…』
いつもと変わらぬ優しい声で愛の言葉が囁かれ、静かに電話は切れた。

/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ