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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
紫織はまるで小娘のように震える両手を組む。
…藤木を前にすると、まるで自分が高校生に戻ったかのような錯覚に陥るのだ。

…二十数年の月日は、あっけないほどに一睡の夢のようだ…。

男がしなやかに手を差し伸べ、乞う。

美しい榛色の瞳が甘く語りかける。

「…食事をして、話をする…。
それだけだ。
それならいいだろう?」
藤木の懇願するような口調に、邪まなものは感じられなかった。
紫織の胸が、狂おしく締め付けられる。

…話だけなら…
切ない誘惑を、拒めない自分がいた。

…だって…
ずっと会いたかったひとだもの…。

「…分かったわ…」

紫織は藤木の方へと、引き寄せられるように歩いて行った。

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