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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
久しぶりに食べる鱧は、芸術的に骨切りされた歯触りと淡白な中にある繊細な味わいが深く、美味しかった。

「美味しいわ…。
すごく懐かしい…」

鱧は曄子が好物で、夏にはよく食卓に上った。
『鱧を食べて祇園さんのコンコンチキチンを聴かんと夏が来た気がせえへんわ』
…叔母様がよく仰っていたっけ…。

「鱧は初めて食べるな…。
上品な味だね」
藤木が感心したように呟いた。

「関東は鱧を食べないものね」
「ニューヨークには存在もしないよ。
あるのはケチャップ味だけのハンバーガーとウェルダンの硬いステーキと大味なピザだけだ。
太らなかったのは奇跡だよ」

紫織はくすくす笑い出す。
「本当に?
今はスローフードやロハスがメジャーなんじゃないの?」
「それは一部のセレブさ。
大方のアメリカ人は相変わらずジャンクフードが大好きだ。
晩御飯がポテトチップスとハーシーのチョコレートなんてのも珍しくない」
「…へえ…。
たまに無性に食べたくなるけれどね、ポテトチップスもハーシーのチョコレートも…。
でも、晩御飯には無理だわ。
私、食いしん坊だから。
ご飯をしっかり食べないと、力が出ないもの…。
…これも美味しそう…」
そう言いながら、紫織は賀茂茄子の鱧巻きに箸を伸ばした。

藤木が吹き出す。
「なあに?」
紫織が怪訝そうに尋ねる。
「いや…、君は相変わらず面白いなあ…と思ってね。
そんなに美人なのに。
…そう言えば…君が作ってくれたお弁当は、どれも本当に美味しかったな…」

紫織は思わず箸を止めた。


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