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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
「…僕は妻を嫌いではなかった。
いや、僕の母を助けてくれて、長生きできるようにしてくれて…僕は心から彼女に感謝している。
アメリカで、高名な大学の医学部で現地の敏腕外科医に混じり遜色ないほど活躍して、しかも子育てもして…とてもエネルギッシュでバイタリティがあって…人として尊敬さえしていた」

「…ご立派だわ…。
そんなひと、滅多にいないわ」
本当にそう思う。
自分は日本で家政婦もいて紗耶を育てたが、それでも大変なときはあった。
海外で…しかも実力主義のアメリカで、日本人で…さらに体力的にもハードな外科医として働きながら子育てすることの難しさは、海外医師の事情に疎い紫織ですら容易に想像できた。

「…そう…。とても立派なひとだ。
僕は彼女に心から敬意を払っていた。
…けれど、それは愛ではなかった。
…ずっと…僕の心の中にはたったひとり…。
紫織しかいなかったからね…」

藤木の眼差しと言葉に、再び熱が戻ってきた。
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