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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
…世間は間もなくクリスマスシーズンを迎える夜のことだった。
紗耶はその夜遅く一息吐こうとキッチンにココアを淹れに行った。
熱いマグカップを手に、そのまま廊下を歩いていると…

離れた場所にある両親の部屋から、珍しく少し言い争うような声が聞こえてきたのだ。

…お父様とお母様…どうされたのかな…?

不安になった紗耶はそっと足音を忍ばせて、長い廊下を渡り、両親の部屋に向かった。

…ドアは少し開いていた。

「僕は反対だよ。
この大事な時期に…わざわざそんな馬鹿げた儀式のために出席させることはない」
…珍しく苛立ったような父の声が聞こえた。
「…けれど、高遠の大お祖母様と…千晴さんのたってのご依頼だわ。
それに、本家筋の華子さんや他の親族のお嬢様たちもご出席されるのよ。
私たち分家が拒めるものではないでしょう」
…母もやや困惑したような口調であった。

「全く…。21世紀の令和の今、そんな時代遅れの因習だの伝統だの…。
おかしいだろう。
大お祖母様の時代ならともかく…千晴はそんな不合理で非現実的なことは一蹴すると思っていたけれどな。
…ましてや紗耶はまだ十八だよ」
「…千晴さんはご本家のご当主でいらっしゃるもの。
色々お考えになられた結果なのでしょう…」
…紫織の声には千晴を庇うような色が濃く感じられた。

…困ったような政彦のため息に続き…。

「…仕方ない。出席させるだけなら良しとしよう。
…けれど、このことは当日まで紗耶には話さないように。
こんな前時代の遺物のような因習のことで、あの子を動揺させたくないんだ。
…もうすぐ大切な大学入試が控えているんだからね」
「…もちろんですわ。
それでは、ご本家に明日お返事をいたします。
…貴方、ブランデーを召し上がります?
今、用意してまいりますわね」

…紫織が動く気配がしたので、紗耶は慌てて足音を忍ばせて、廊下を後にした。


…お父様もお母様も、何の話をしていたのだろう…。
儀式?因習?伝統?前時代の遺物?華子ちゃんたちも出席する?
考えてもさっぱり分からなかった。

…本家で何かイベントでもあるのかしら?

けれど紗耶はすぐに頭を振った。
…まあ、でも私は関係ないわね。
お父様もああ仰っていたし…。

英単語を見直しながら、ココアを飲もう…。
そう気持ちを切り替えると、紗耶はゆっくりと部屋に戻っていった。
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