この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
寝室に入り、紫織は後ろ手に鍵を掛けた。
灯りも点けずに、暫く茫然と立ち竦む。

政彦とはあの夜以来、寝室は別だ。
…今ほど、政彦と寝室を分けていて良かったと思ったことはない。

紫織は思わず子どものように床に座り込む。

…どうしよう…。

口唇が熱い…。
震える白い指先でそっと、触れる。
やや腫れて熱を持った口唇…。
藤木に千切れるほどに吸われ、愛された証のような痛みが甘く走る。

…何てこと…してしまったのだろう…。

後悔と…それを上回る甘美な背徳の快感が、身体を支配していた。

「…先生…!」
思わず、自分の身体を掻き抱き、口走る。



…『…紫織…。愛している…。
もう、離さない…。
…君を、誰にも渡さない…』
口づけのあと、骨が砕けそうになるほど紫織を抱き竦め、藤木は熱く囁いた。

…そして…

『…明日の夜、僕が泊まっているホテルに来て欲しい…』

そう言って紫織のスマートフォンを取り上げ、自分のメールアドレスを登録し、日比谷の高級ホテルの部屋番号を送信した。

『…行けないわ…。
私…夫を裏切るのは嫌…』
紫織は大きな眼を見張り、恐ろしげに首を振った。
…あんな優しい良い人を、裏切るわけにはいかない…。

紫織の涙を唇で吸い取り、藤木が再び強く抱きしめる。
苦しげな声が、紫織の鼓膜を震わせる。
『…酷い男だね…僕は…。
君をまたこんなに苦しめて…。
けれど、これ以外に君を僕のものにする方法がないんだ』

美しい榛色の瞳が近づく。
…駄目だ…。
紫織は絶望に近い感情に襲われる。
…また、魅入られてしまうのに…。

『…ご主人を裏切ってくれ…』
紫織は少女のように泣きじゃくる。
『地獄に…堕ちるわ…』
『大丈夫だ。地獄には僕一人で行く。
唆し、引き摺り込んだのは僕だ。
僕だけの罪だ。
…君は綺麗なままだ』

藤木の美しい手が、愛おしげに紫織の髪を撫でる。

…男の言葉は、優しい優しい悪魔の囁きのようだった…。
/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ