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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
「…私…私は…」
…揺れている。
ずっとぐらぐら揺れているのだ。

「先生と一緒になりたい?
それとも、政彦さんとこのまま結婚生活を続けたい?」

紫織は力なく首を振った。
「…分からない…。
どうしていいか、分からないの…。
あのね…とてもいけないことだけれど…私…先生を今も愛しているわ…」
「…紫織…」
「昨日先生に会って、思い知らされたの。
私はあの頃から少しも進歩してないんだ…て。
先生を見た途端、十七歳に戻ってしまったの。
あの時の気持ちが生々しく甦って…。
恋しくて…切なくて…。
私はずっと、先生を愛していたのだと思い知らされたの…」
「…そうか…」

「でも、政彦さんを裏切ることを考えると、身体が震えるくらいに怖くなるわ…。
あんなに優しくて良い人を、騙して苦しめることになるのよ…。
そんなこと…許されることではないわ…」

涙ぐむ紫織に、美加はきっぱりと告げた。

「そうだね。もちろん許されることではないね。
紫織が先生に対してどんなに純粋な気持ちを抱いているとしても、不倫は不倫だよ。
紫織は結婚をしていて子どももいる。
政彦さんを裏切って先生を選ぶとしたら、それは身勝手な行為だよね。
どんな言い訳も通用しないよ」
いつにない厳しい言葉に、紫織はどきりとし…同時に納得する。

俯き、小さな声で自問自答する。
「…本当に…そうね…。
私が何を言っても綺麗事になるわね…。
私は身勝手なエゴイズムで自分の家庭を壊そうとしているんだわ。
なんて愚かなのかしら…」
…政彦さんに深く愛され、可愛い娘にも恵まれた…。
したいことはすべてさせてもらい、何不自由ない豊かな暮らしをさせてもらった…。
それなのに、昔の恋が忘れられないだなんて、ただの愚かな我儘だ。
…分かってる…すべて…。

…けれど…。

「…でも、それでもどうしても諦められないのが、恋なんだと思う」

静かな…どこか温かな労りに満ちた声で、美加は言ったのだ…。




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