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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
思わず叫んだ紫織に、堂島は眼を見張りながら笑顔で歩み寄る。
「やはり紫織さんだ。
ご予約のお名前をいただいたときに、もしかして…と思っていたのですが…。
…お久しぶりですね。
少しもお変わりにならず…いや、以前にもましてお美しい…」
堂島はやや目尻に皺らしきものを刻んではいるが、あの頃と殆ど変わらず相変わらず陽気な色気を纏った男だった。
「…紫織…?こちらは…?」
政彦がやや心配そうに尋ねた。
すると、紫織が口を開く前に、堂島が如才なく政彦に挨拶をした。
「これは失礼いたしました。
紫織さんの旦那様ですね。
私は堂島悠介と申します。
紫織さんにはずっと以前に、京都の店をご贔屓いただいたことがありましてね。
それでお懐かしくてついお声を掛けてしまいました。
…あの頃から息を呑むような美少女でいらしたけれど…今は…。
そのお美しさに輝きと艶が増しましたね」
…まるで口説くかのような賛辞に、政彦は微かに当惑気味に、けれど紳士らしく穏和に微笑み返した。
「そうでしたか。
それは偶然でしたね。
紫織…?」
紫織は堂島ににっこりと笑いかけると、政彦の腕に触れ、紹介した。
「本当にお久しぶりですね。
お懐かしいわ。
…堂島さん。主人の二宮です。
今日は私のために主人がわざわざこちらの予約をしてくれたのです。
…主人は私にとても優しいんですよ」
そうして、政彦に甘く微笑みかける。
「…紫織…」
政彦が照れたように瞬きをした。
堂島は眉を上げ、快活に笑った。
「それはそれはご馳走様です。
お幸せそうで何よりです。
こんなに嬉しいことはない。
…今日は私からお祝いをさせてください。
特別なシャンパンを今、お持ちします」
堂島は明るい太陽のように微笑み、折目正しくお辞儀をした。
…そうして去り際に、紫織だけに聴こえるようにそっと囁いた。
「…残念。不倫はし損ねたね。
…けれど、君が本当に幸せそうで良かったよ…。
これは本心だ」
「やはり紫織さんだ。
ご予約のお名前をいただいたときに、もしかして…と思っていたのですが…。
…お久しぶりですね。
少しもお変わりにならず…いや、以前にもましてお美しい…」
堂島はやや目尻に皺らしきものを刻んではいるが、あの頃と殆ど変わらず相変わらず陽気な色気を纏った男だった。
「…紫織…?こちらは…?」
政彦がやや心配そうに尋ねた。
すると、紫織が口を開く前に、堂島が如才なく政彦に挨拶をした。
「これは失礼いたしました。
紫織さんの旦那様ですね。
私は堂島悠介と申します。
紫織さんにはずっと以前に、京都の店をご贔屓いただいたことがありましてね。
それでお懐かしくてついお声を掛けてしまいました。
…あの頃から息を呑むような美少女でいらしたけれど…今は…。
そのお美しさに輝きと艶が増しましたね」
…まるで口説くかのような賛辞に、政彦は微かに当惑気味に、けれど紳士らしく穏和に微笑み返した。
「そうでしたか。
それは偶然でしたね。
紫織…?」
紫織は堂島ににっこりと笑いかけると、政彦の腕に触れ、紹介した。
「本当にお久しぶりですね。
お懐かしいわ。
…堂島さん。主人の二宮です。
今日は私のために主人がわざわざこちらの予約をしてくれたのです。
…主人は私にとても優しいんですよ」
そうして、政彦に甘く微笑みかける。
「…紫織…」
政彦が照れたように瞬きをした。
堂島は眉を上げ、快活に笑った。
「それはそれはご馳走様です。
お幸せそうで何よりです。
こんなに嬉しいことはない。
…今日は私からお祝いをさせてください。
特別なシャンパンを今、お持ちします」
堂島は明るい太陽のように微笑み、折目正しくお辞儀をした。
…そうして去り際に、紫織だけに聴こえるようにそっと囁いた。
「…残念。不倫はし損ねたね。
…けれど、君が本当に幸せそうで良かったよ…。
これは本心だ」