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異邦人の庭 〜secret garden〜
第13章 ミスオブ沙棗の涙 〜初恋のゆくえ〜
「僕の予言通りになったね…」
店を去る間際、堂島が紫織に囁いた。
…今夜のロマネ・コンティが気に入った政彦はソムリエに地下のワインカーヴでお勧めの逸品を見せて貰っていた。
「君は優しくて頼もしい旦那様と結婚し、可愛い子どもを儲け良いお母さんになる…。
そうして、誰もが羨やむ幸せな結婚生活を送る…とね。
…さっき、旦那様に聞いたよ。
君は名門のお家に嫁いだんだね。
そして、可愛いお嬢さんはあの高遠家の当主の花嫁に?
…予言以上だな」
紫織は小さく微笑んだ。
「…そうね…。貴方の予言は当たったわ」
…藤木との恋を忘れなくてもいい。
忘れないまま、幸せな人生を生きなさい。
…君はきっと良いお母さんになるよ…。
堂島のその温かな言葉は、紫織の背中を優しく押してくれたのだ。
「ありがとう。
貴方の言葉は良い言霊だったわ」
やや声を潜め、堂島が尋ねた。
「…藤木が帰国しているのは知っている?」
紫織は静かに頷いた。
「ええ。先日偶然会ったわ。
…でも、もう大丈夫。
私、ようやく初恋を卒業できたの」
堂島が朗らかに破顔した。
「そりゃ良かった。
…心から、おめでとう」
「紫織。
君も一緒にワインを選んでくれないか」
カーヴから政彦の声が聞こえた。
「今行くわ。貴方」
声をかけ、堂島を見上げた。
「主人が呼んでいるから行くわ。
…堂島さん。ありがとう…」
「…紫織さん…」
しなやかに、堂島が紫織の白い手を取る。
そうして、恭しく敬愛のキスをその甲に落とした。
「どうか、お幸せにね。
…僕の美しいひと…」
店を去る間際、堂島が紫織に囁いた。
…今夜のロマネ・コンティが気に入った政彦はソムリエに地下のワインカーヴでお勧めの逸品を見せて貰っていた。
「君は優しくて頼もしい旦那様と結婚し、可愛い子どもを儲け良いお母さんになる…。
そうして、誰もが羨やむ幸せな結婚生活を送る…とね。
…さっき、旦那様に聞いたよ。
君は名門のお家に嫁いだんだね。
そして、可愛いお嬢さんはあの高遠家の当主の花嫁に?
…予言以上だな」
紫織は小さく微笑んだ。
「…そうね…。貴方の予言は当たったわ」
…藤木との恋を忘れなくてもいい。
忘れないまま、幸せな人生を生きなさい。
…君はきっと良いお母さんになるよ…。
堂島のその温かな言葉は、紫織の背中を優しく押してくれたのだ。
「ありがとう。
貴方の言葉は良い言霊だったわ」
やや声を潜め、堂島が尋ねた。
「…藤木が帰国しているのは知っている?」
紫織は静かに頷いた。
「ええ。先日偶然会ったわ。
…でも、もう大丈夫。
私、ようやく初恋を卒業できたの」
堂島が朗らかに破顔した。
「そりゃ良かった。
…心から、おめでとう」
「紫織。
君も一緒にワインを選んでくれないか」
カーヴから政彦の声が聞こえた。
「今行くわ。貴方」
声をかけ、堂島を見上げた。
「主人が呼んでいるから行くわ。
…堂島さん。ありがとう…」
「…紫織さん…」
しなやかに、堂島が紫織の白い手を取る。
そうして、恭しく敬愛のキスをその甲に落とした。
「どうか、お幸せにね。
…僕の美しいひと…」