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異邦人の庭 〜secret garden〜
第14章 ミスオブ沙棗の涙 〜コーネリアの娘の呟き〜
…「…あれは、どういう意味だったのかしら?」
徳子の言葉をぼんやりと反芻する。
その背後からふわりと良い薫りが漂い、逞しく長い腕がしなやかに紗耶を抱きしめた。
「どうしたの?紗耶ちゃん。ぼうっとして」
「千晴お兄ちゃま…!」
足音を忍ばせて、紗耶の部屋にやって来たのだろう。
千晴は紗耶の白く華奢な首筋に貌を埋めた。
「…ああ、いい匂いがする…。
紗耶ちゃんはいつも清潔なシャボンの匂いがするね…。
紗耶ちゃんの匂いを嗅ぐと安心する…」
美しい筋肉に覆われた逞しい千晴の胸の中で、紗耶は頰を赤らめる。
…夜で…良かった…。
そう密かに思った。
「…何を考えていたの?」
優しく髪を撫でられる。
「…お母様のこと…。
私、お姉様になるのね…」
「…そうだね…。
少し…いや、かなり驚いたけれど、良かったね。
…紫織さんはとても幸せそうだった。
…なんというか…ごくごく普通の…こう言ったら何だけれど…平凡な綺麗なお母様のお貌をしていた。
…今までの紫織さんとは、まるで違っていたよ…」
しみじみとした声…。
そこに、熱っぽさや恋しさは混ざってはいない気がするけれど…。
「…お兄ちゃま…。
お兄ちゃまは、いいの?」
千晴が不思議そうにその鳶色の瞳を瞬かせた。
「え?」
紗耶は思い切って尋ねてみた。
「…お兄ちゃまは…お母様がお好きだったのでしょう?」
徳子の言葉をぼんやりと反芻する。
その背後からふわりと良い薫りが漂い、逞しく長い腕がしなやかに紗耶を抱きしめた。
「どうしたの?紗耶ちゃん。ぼうっとして」
「千晴お兄ちゃま…!」
足音を忍ばせて、紗耶の部屋にやって来たのだろう。
千晴は紗耶の白く華奢な首筋に貌を埋めた。
「…ああ、いい匂いがする…。
紗耶ちゃんはいつも清潔なシャボンの匂いがするね…。
紗耶ちゃんの匂いを嗅ぐと安心する…」
美しい筋肉に覆われた逞しい千晴の胸の中で、紗耶は頰を赤らめる。
…夜で…良かった…。
そう密かに思った。
「…何を考えていたの?」
優しく髪を撫でられる。
「…お母様のこと…。
私、お姉様になるのね…」
「…そうだね…。
少し…いや、かなり驚いたけれど、良かったね。
…紫織さんはとても幸せそうだった。
…なんというか…ごくごく普通の…こう言ったら何だけれど…平凡な綺麗なお母様のお貌をしていた。
…今までの紫織さんとは、まるで違っていたよ…」
しみじみとした声…。
そこに、熱っぽさや恋しさは混ざってはいない気がするけれど…。
「…お兄ちゃま…。
お兄ちゃまは、いいの?」
千晴が不思議そうにその鳶色の瞳を瞬かせた。
「え?」
紗耶は思い切って尋ねてみた。
「…お兄ちゃまは…お母様がお好きだったのでしょう?」