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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「はい。どうぞ?」
清瀧はさらりと応える。
ハンサムで人気の准教授の清瀧には訪問者が多いのだろう。
講義のあと、いつも数人の女子大学生に囲まれている光景をよく見かけるのだ。
「…藤木です」
…その男は驚くほどに美しい低音の声でそう名乗り、静かにドアを開けた。
「ああ、藤木先生。ようこそ。
お待ちしていましたよ」
清瀧が穏やかに笑み混じりで歓迎する。
どうやら、約束があったようだ。
…お客様なのだわ…。
緊張して振り返った紗耶はその長躯の男と偶然眼が合った。
…綺麗な…榛色の…瞳…。
離れている場所からでも、その稀有なほどに美しい瞳に眼を奪われた。
紗耶は一瞬見惚れた自分に慌てて、素早く席を立つ。
「私、もう失礼いたします…」
その紗耶を清瀧が柔らかく制した。
「いいじゃない。紗耶さん。
藤木先生を紹介するよ。
…本来は理学部の先生なんだけど、来月からこの学部でも教鞭を取られるから紗耶さんもお世話になるかもしれないし」
清瀧が立ち上がり、そのすらりと長身な男の傍らにゆっくりと歩み寄る。
そうして、流暢に優しく紹介を始めた。
「…藤木芳人教授だ。
先生は今年まで名門コロンビア大学で香料の研究と講師をされていて、今秋からこちらの大学で教授に就任されたんだ。
偶然にも僕の妻の古い知り合いでね。
…藤木先生。
こちらは僕の親友の婚約者の二宮紗耶さんです。
まだ文学部の一年生なので、藤木先生の講義を聴くこともあるかもしれません。
どうぞよろしくご指導ください」
清瀧はさらりと応える。
ハンサムで人気の准教授の清瀧には訪問者が多いのだろう。
講義のあと、いつも数人の女子大学生に囲まれている光景をよく見かけるのだ。
「…藤木です」
…その男は驚くほどに美しい低音の声でそう名乗り、静かにドアを開けた。
「ああ、藤木先生。ようこそ。
お待ちしていましたよ」
清瀧が穏やかに笑み混じりで歓迎する。
どうやら、約束があったようだ。
…お客様なのだわ…。
緊張して振り返った紗耶はその長躯の男と偶然眼が合った。
…綺麗な…榛色の…瞳…。
離れている場所からでも、その稀有なほどに美しい瞳に眼を奪われた。
紗耶は一瞬見惚れた自分に慌てて、素早く席を立つ。
「私、もう失礼いたします…」
その紗耶を清瀧が柔らかく制した。
「いいじゃない。紗耶さん。
藤木先生を紹介するよ。
…本来は理学部の先生なんだけど、来月からこの学部でも教鞭を取られるから紗耶さんもお世話になるかもしれないし」
清瀧が立ち上がり、そのすらりと長身な男の傍らにゆっくりと歩み寄る。
そうして、流暢に優しく紹介を始めた。
「…藤木芳人教授だ。
先生は今年まで名門コロンビア大学で香料の研究と講師をされていて、今秋からこちらの大学で教授に就任されたんだ。
偶然にも僕の妻の古い知り合いでね。
…藤木先生。
こちらは僕の親友の婚約者の二宮紗耶さんです。
まだ文学部の一年生なので、藤木先生の講義を聴くこともあるかもしれません。
どうぞよろしくご指導ください」