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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
…その時、清瀧のスマートフォンが唐突に着信音を奏でた。
「…失礼…」
と、断りながら清瀧は電話に出る。
「…もしもし、清瀧です。はい。そうです。
…えっ⁈は、破水した⁈はい…はい…!
分かりました!…すぐに…すぐに向かいます!」
常にない清瀧の緊迫した様子に、只事ではないと紗耶は緊張する。
…破水…破水って、何だっけ…。
慌ただしく電話を切ると、酷く慌てた様子で二人に説明を始めた。
「澄佳が…妻が破水しました。
今、病院に運ばれたそうで…」
こんなふうに動揺している清瀧は初めてだ。
藤木が素早く答えた。
「柊司くんも早く病院に行った方がいい。
大丈夫。初産は時間がかかるからすぐには産まれないよ。
間に合うから落ち着いて」
「はい!ありがとうございます!
…ああ…でも、僕はこれから午後の講義があるんだ…。
それから学生のレポートの受付も…」
冷静さを欠く清瀧に、藤木が落ち着いて答えた。
「教務課には僕が連絡するよ。
…レポートは…僕が代理で印を押す。
ここの大学の教員なら問題ないはずだ。心配しないで」
思わず紗耶も叫んでいた。
「わ、私も…!私もなんでもお手伝いします!
だから奥様のところに行かれてください!
あ、安産をお祈りしています!」
「あ、ありがとうございます!藤木先生。
紗耶さんも、ありがとう…!
じ、じゃあ、行かせていただきます!
また連絡します!
失礼します!」
猛然と頭を下げると、清瀧は矢も盾もたまらずといったふうに慌ただしく研究室を後にした。
…そうして、部屋には紗耶と藤木だけが残されたのだ。
「…失礼…」
と、断りながら清瀧は電話に出る。
「…もしもし、清瀧です。はい。そうです。
…えっ⁈は、破水した⁈はい…はい…!
分かりました!…すぐに…すぐに向かいます!」
常にない清瀧の緊迫した様子に、只事ではないと紗耶は緊張する。
…破水…破水って、何だっけ…。
慌ただしく電話を切ると、酷く慌てた様子で二人に説明を始めた。
「澄佳が…妻が破水しました。
今、病院に運ばれたそうで…」
こんなふうに動揺している清瀧は初めてだ。
藤木が素早く答えた。
「柊司くんも早く病院に行った方がいい。
大丈夫。初産は時間がかかるからすぐには産まれないよ。
間に合うから落ち着いて」
「はい!ありがとうございます!
…ああ…でも、僕はこれから午後の講義があるんだ…。
それから学生のレポートの受付も…」
冷静さを欠く清瀧に、藤木が落ち着いて答えた。
「教務課には僕が連絡するよ。
…レポートは…僕が代理で印を押す。
ここの大学の教員なら問題ないはずだ。心配しないで」
思わず紗耶も叫んでいた。
「わ、私も…!私もなんでもお手伝いします!
だから奥様のところに行かれてください!
あ、安産をお祈りしています!」
「あ、ありがとうございます!藤木先生。
紗耶さんも、ありがとう…!
じ、じゃあ、行かせていただきます!
また連絡します!
失礼します!」
猛然と頭を下げると、清瀧は矢も盾もたまらずといったふうに慌ただしく研究室を後にした。
…そうして、部屋には紗耶と藤木だけが残されたのだ。