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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…先生の…研究室の助手…ですか?」
紗耶は鸚鵡返しに尋ねた。
藤木は頷くと説明を始める。
「そう。
…実はこちらのキャンパスにも研究室を与えられたんだけれど、まだ書籍やそのほかの荷物も全く手付かずでね。何も片付けてないんだ。
…まずは研究室の片付けと…それから僕の講義の準備やアシスタント仕事をしてもらいたいんだ。
さっき柊司くんの研究室を片付けたり、電話の応対をしている紗耶さんを見て、とても感心したんだよ。
ぜひ紗耶さんみたいに礼儀作法がきちんとして細やかなひとに手伝ってもらいたいと思ってね。
…僕はこちらに週二日ほど講義に来る。
その日だけでいいし、もちろん紗耶さんの都合を優先してくれて構わない。
授業やサークル活動に支障が出ないように、働いてくれたらそれでいいんだ」
紗耶は思わずおどおどと首を振った。
「…そ、そんな…私なんか…不器用で気は効かないですし…。
第一アルバイト、したこともないですし…」
…アルバイト…か…。
紗耶はまだアルバイトをしたことがなかった。
小遣いは潤沢に与えられていたし、欲しいものはなんでも政彦や紫織に買ってもらえた。
千晴は事あるごとに紗耶に様々なものをプレゼントしたがっていたのでアルバイトをする必要がなかったのだ。
だから…考えたこともなかった…
と、紗耶は思った。
…でも、アルバイト…してみたかったんだわ…。
紗耶は心の内で呟いた。
…なぜなら、もうすぐ千晴の誕生日だからだ。
紗耶は千晴の誕生日に乗馬用のカーフの革手袋をプレゼントしたいと思っていた。
けれどそれを政彦から与えられているお小遣いで購入するのはなんとなく違うような気がしていた。
自分が働いたお金で、紗耶はプレゼントを贈りたかったのだ。
紗耶は鸚鵡返しに尋ねた。
藤木は頷くと説明を始める。
「そう。
…実はこちらのキャンパスにも研究室を与えられたんだけれど、まだ書籍やそのほかの荷物も全く手付かずでね。何も片付けてないんだ。
…まずは研究室の片付けと…それから僕の講義の準備やアシスタント仕事をしてもらいたいんだ。
さっき柊司くんの研究室を片付けたり、電話の応対をしている紗耶さんを見て、とても感心したんだよ。
ぜひ紗耶さんみたいに礼儀作法がきちんとして細やかなひとに手伝ってもらいたいと思ってね。
…僕はこちらに週二日ほど講義に来る。
その日だけでいいし、もちろん紗耶さんの都合を優先してくれて構わない。
授業やサークル活動に支障が出ないように、働いてくれたらそれでいいんだ」
紗耶は思わずおどおどと首を振った。
「…そ、そんな…私なんか…不器用で気は効かないですし…。
第一アルバイト、したこともないですし…」
…アルバイト…か…。
紗耶はまだアルバイトをしたことがなかった。
小遣いは潤沢に与えられていたし、欲しいものはなんでも政彦や紫織に買ってもらえた。
千晴は事あるごとに紗耶に様々なものをプレゼントしたがっていたのでアルバイトをする必要がなかったのだ。
だから…考えたこともなかった…
と、紗耶は思った。
…でも、アルバイト…してみたかったんだわ…。
紗耶は心の内で呟いた。
…なぜなら、もうすぐ千晴の誕生日だからだ。
紗耶は千晴の誕生日に乗馬用のカーフの革手袋をプレゼントしたいと思っていた。
けれどそれを政彦から与えられているお小遣いで購入するのはなんとなく違うような気がしていた。
自分が働いたお金で、紗耶はプレゼントを贈りたかったのだ。