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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「藤木先生…!
は、はい…」
紗耶は少し緊張しながら、なんとか柔かに二人を紹介しようと口を開いた。
…なぜだか分からないが隼人が土佐犬のように闘志剥き出しの眼をして藤木を見ているからだ…。
「あの、こちらは私の入っているサークルの先輩の大嶋隼人さんです。
…隼人先輩、こちらは文学部の清瀧准教授のご友人の藤木先生です。
清瀧先生はお兄ちゃまのお友だちなので…その…私とは遠いような…近いような繋がり…ですけれど…でも、ちゃんとしたお知り合い…です…」
…なかなかふたりの関係を説明するのは難しい。
藤木がさらりと説明を引き受けた。
「清瀧先生に今日、お子さんが生まれてね。
半日研究室で紗耶さんと代行業務をしていたんだ。
それで紗耶さんの働きぶりが素晴らしくて、ぜひ僕の研究室の助手に来てほしくて今、お願いしていたんだよ。
…君からもぜひ、頼んでくれないかな?」
「はあ?
なんで俺が初対面のあんたのためにそんなことしなきゃなんないんすか?」
「は、隼人先輩…そんな口の聞き方…」
紗耶は冷や冷やする。
むっとしたように藤木を睨みつけている隼人の肩越しに、アネゴがひょっこり貌を出す。
「あらま、すんごいイイオトコじゃ〜ん!
ウチの大学のセンセ?マジか!
清瀧先生もイケメンだけど、こちらはイケオジ…て感じ〜」
陽気に声を立て笑いながら、アネゴは隼人の肩をぽんぽん叩く。
「いいじゃんいいじゃん。
サーヤちゃんのお兄ちゃまの友だちなら品行方正、人畜無害に決まってるわな。
…てか、あたしたちがここで証人になっちゃえば隼人が心配するようなことは起きないんじゃん?」
「アネゴ!俺は別に…!」
慌てる隼人を横目に、アネゴはざっくばらんに藤木に話しかける。
「サーヤちゃんはこの通り、世間知らずなお姫様だからさ。
こいつはセンセがサーヤちゃんに手ェ出さないか心配なんよ」
藤木は可笑しそうに小さく笑った。
「なるほどね。
…それならここで宣誓しよう」
男は美しい手をすらりと挙げた。
「僕は紗耶さんの前で清廉潔白な紳士であり続けることを君たちに誓おう。
…どうかな?紗耶さん。
僕の助手さんになってくれる?」
榛色の瞳が甘く瞬き紗耶を見つめた。
「…は、はあ…」
「…あんれま。
…キザがサマになるセンセだこと…」
アネゴが鼻を鳴らし、隼人は不機嫌な表情を更に深くしたのだった。
は、はい…」
紗耶は少し緊張しながら、なんとか柔かに二人を紹介しようと口を開いた。
…なぜだか分からないが隼人が土佐犬のように闘志剥き出しの眼をして藤木を見ているからだ…。
「あの、こちらは私の入っているサークルの先輩の大嶋隼人さんです。
…隼人先輩、こちらは文学部の清瀧准教授のご友人の藤木先生です。
清瀧先生はお兄ちゃまのお友だちなので…その…私とは遠いような…近いような繋がり…ですけれど…でも、ちゃんとしたお知り合い…です…」
…なかなかふたりの関係を説明するのは難しい。
藤木がさらりと説明を引き受けた。
「清瀧先生に今日、お子さんが生まれてね。
半日研究室で紗耶さんと代行業務をしていたんだ。
それで紗耶さんの働きぶりが素晴らしくて、ぜひ僕の研究室の助手に来てほしくて今、お願いしていたんだよ。
…君からもぜひ、頼んでくれないかな?」
「はあ?
なんで俺が初対面のあんたのためにそんなことしなきゃなんないんすか?」
「は、隼人先輩…そんな口の聞き方…」
紗耶は冷や冷やする。
むっとしたように藤木を睨みつけている隼人の肩越しに、アネゴがひょっこり貌を出す。
「あらま、すんごいイイオトコじゃ〜ん!
ウチの大学のセンセ?マジか!
清瀧先生もイケメンだけど、こちらはイケオジ…て感じ〜」
陽気に声を立て笑いながら、アネゴは隼人の肩をぽんぽん叩く。
「いいじゃんいいじゃん。
サーヤちゃんのお兄ちゃまの友だちなら品行方正、人畜無害に決まってるわな。
…てか、あたしたちがここで証人になっちゃえば隼人が心配するようなことは起きないんじゃん?」
「アネゴ!俺は別に…!」
慌てる隼人を横目に、アネゴはざっくばらんに藤木に話しかける。
「サーヤちゃんはこの通り、世間知らずなお姫様だからさ。
こいつはセンセがサーヤちゃんに手ェ出さないか心配なんよ」
藤木は可笑しそうに小さく笑った。
「なるほどね。
…それならここで宣誓しよう」
男は美しい手をすらりと挙げた。
「僕は紗耶さんの前で清廉潔白な紳士であり続けることを君たちに誓おう。
…どうかな?紗耶さん。
僕の助手さんになってくれる?」
榛色の瞳が甘く瞬き紗耶を見つめた。
「…は、はあ…」
「…あんれま。
…キザがサマになるセンセだこと…」
アネゴが鼻を鳴らし、隼人は不機嫌な表情を更に深くしたのだった。