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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…あのね、お兄ちゃま…。
紗耶ね、お願いがあるの」 
そう紗耶が勇気を振り絞って切り出したのは、翌朝、晩秋の朝陽が差し込む朝食の席でのことだ。

「何?どうしたの?改まって」
千晴は綺麗な手つきでリコッタチーズのパンケーキにマヌカ蜂蜜をたっぷり掛けながら、紗耶を見つめた。

…千晴は意外に甘党なのだ。
酒も嗜むが、ケーキやチョコレート、甘い果物は大好物だ。
だからこの屋敷には常に高級サロンのチョコレートや甘い焼き菓子、果物がふんだんに用意されているのだ。

「…あのね、お兄ちゃま…。
紗耶ね、アルバイトをしようと思っているの…」

千晴の硝子の蜂蜜サーバーを持つ手が止まった。

「…アルバイト…?」
「…ええ、アルバイト。
…お友だちは皆んなしているわ。
していないのは紗耶くらいだもの…」
…隼人は宅配ピザと居酒屋のアルバイトを掛け持ちでしているし、アネゴはああ見えて塾講師だ。
クラスの友だちも家庭教師や…中には展示会のコンパニオンのアルバイトをしている子もいる。

「どうしてアルバイトしたいの?
政彦兄さんから紗耶ちゃんの生活費は預かっているけど、毎月かなり余っているよ。
それとは別にお小遣いももらっているんでしょう?
足りないの?
足りないなら僕が喜んであげるよ。
何か欲しいものがあるのかな?」
意気込む千晴に、紗耶は慌てて首を振った。
「違うの。お金が足りないのじゃないの。
…あの…」

…お兄ちゃまの誕生日プレゼントを買いたいから…。
でも、これを伝えたらサプライズにならないわ…。

「…社会勉強をしたいの」
「社会勉強?」
千晴の形の良い眉が、不思議そうに寄せられた。

良い機会だと紗耶は思った。
自分が日頃思っていることを率直に千晴に伝えよう…。
千晴に本当の自分のことを、もっと知ってもらいたい…。

「…そう。
紗耶、すごく世間知らずでしょう?
学校は幼稚園から高校までずっと付属の女子校で…性格も引っ込み思案で人見知りばかりしてきたから、お父様やお母様にずっと大切に守られてきたわ…。
大学に入って驚いたわ。
紗耶が如何に何も知らないか、つくづく思い知らされたの。
…紗耶はもう十八だけれど、無知な子どもみたいなものだなあ…て。
すごく恥ずかしかったわ…。
…だから、働くことの大変さや、お金の大切さを自分でちゃんとお勉強してみたいの」
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