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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…なるほど…ね…」
暫く考え込んでいた千晴がようやく呟いた。

「…僕は紗耶ちゃんの純粋で世間擦れしていないところが大好きなんだけれどね…。
…けれど、紗耶ちゃんの成長のためなら…まあ、仕方ないかな…」
渋々…と言った風だが、なんとか納得してくれたようだ。

「お兄ちゃま…!」
許して貰えた…とほっとしていると…
「…で、どんなアルバイトをするの?」
早速、質問が繰り出された。

「…あの…大学の先生の研究室の助手…みたいなお仕事…」
「大学の先生?誰?」
「清瀧先生のご友人の先生。
…藤木先生って仰るの」
「…藤木先生?…知らないな。
何で紗耶ちゃんがその先生と知り合ったの?」
「昨日、清瀧先生の奥様に赤ちゃんが産まれたでしょう?
その時、紗耶、偶然先生の研究室に居合せて…その藤木先生と清瀧先生のお仕事をお手伝いしたの。
清瀧先生、急いで房総の奥様のもとに行かれたから…。
それで、アルバイトしてみないか…て誘われたの」
「…その男、身元は確かなんだろうね?」
「ええ。今までコロンビア大学で研究されていて、最近帰国されたの。
それで来月からうちの大学で教鞭を取られることになったの。
…これ、名刺もいただいたわ。
もし、ご心配なら清瀧先生にお兄ちゃまから問い合わせてみて」
昨日もらった名刺を千晴に差し出す。

千晴はそれを受け取り、難しい貌でじっと見つめていたが…
「…分かった。
あとでお祝いの電話をするつもりだったから、その時に聞いてみるよ。
清瀧の確証が取れたら、よしとしようかな…」
そう折り合いをつけてくれたのだ。

紗耶はようやく笑顔になる。
…清瀧先生が保証してくださったら、大丈夫だわ…。
「良かった…!
ありがとう、お兄ちゃま!」

千晴は苦笑まじりに、紗耶の白い頬に手を伸ばす。
「…そんな嬉しそうな貌をして…。
なんだか妬けるな…」
「…お兄ちゃま…」
困ったように瞬きする紗耶に、千晴は優しく微笑んだ。

「…キスして、紗耶ちゃん…。
そうしたら、許してあげる…」

…紗耶は背後に影のように控えている家政婦の八重をちらりと見遣る。

訓練された家政婦の彼女は、毛筋ほども表情を変えない。
真っ直ぐ前だけを見つめている。

紗耶は白く華奢な頸をほんのり染めながら、そっと千晴の唇に桜色の口唇を重ねたのだった…。


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