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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
集まっていた親族たちの顔触れと人数を見て、紗耶は驚いた。
…高遠家の一族は、こんなにも沢山いたのだろうか…。
華子や麗香など、昔からよく知る親戚もいるが、ほかの数名は初めて見る娘たちが多かった…。
…そうだ…。
奇妙なことに、紗耶は気付いたのだ。
…ここには、年頃の若い娘たちとその両親しか集められていないようなのだった。
いつものクリスマスや、徳子の誕生日会なら、男子や子どもたちも大勢招待されていたのに…と。
華子の前を会釈しながら通りかかると、彼女はちらりとその派手な化粧を施した面を上げた。
そうして一瞬、紗耶に眼を奪われ…そんな自分に唇を歪め、冷ややかに言い放つ。
「…あら、紗耶ちゃん。お久しぶりね。
紗耶ちゃんがまさか来るとは思わなかったわ。
だって紗耶ちゃんはまだ未成年だものね」
…華子は黒地に蘭の花が描かれた豪奢な辻ヶ花染めの振袖にインド更紗の斬新な色彩とデザインの帯を纏っていた。
それは、華やかなで勝気な目鼻立ちの華子によく似合っていた。
…華子は大学四年生…。
アラブ首長国連邦のエアラインの客室乗務員に就職が決まったらしいと、政彦が紫織に話していたのを小耳に挟んだ。
大きくなっても紗耶は未だに華子が苦手だ。
貌を合わせれば嫌味と意地悪の弾丸を投げつけてくるからだ。
「…お久しぶりです…」
小さな声で挨拶をして、華子の前を通りすぎようとした時…
「ねえ、紗耶ちゃん。
貴女ももしかして千晴お兄様に…」
「華子さん。ご機嫌よう。
紗耶にはまだ何も知らせていないのですよ」
紫織が穏やかに…けれど牽制するように口を開いた。
「あら、叔母さま。それは失礼いたしました。
では、私も見ざる聞かざる言わざるでおりますわ」
大げさに肩を竦めて見せ謎の言葉を口にすると、華子はくすくすと笑ったのだった。
…高遠家の一族は、こんなにも沢山いたのだろうか…。
華子や麗香など、昔からよく知る親戚もいるが、ほかの数名は初めて見る娘たちが多かった…。
…そうだ…。
奇妙なことに、紗耶は気付いたのだ。
…ここには、年頃の若い娘たちとその両親しか集められていないようなのだった。
いつものクリスマスや、徳子の誕生日会なら、男子や子どもたちも大勢招待されていたのに…と。
華子の前を会釈しながら通りかかると、彼女はちらりとその派手な化粧を施した面を上げた。
そうして一瞬、紗耶に眼を奪われ…そんな自分に唇を歪め、冷ややかに言い放つ。
「…あら、紗耶ちゃん。お久しぶりね。
紗耶ちゃんがまさか来るとは思わなかったわ。
だって紗耶ちゃんはまだ未成年だものね」
…華子は黒地に蘭の花が描かれた豪奢な辻ヶ花染めの振袖にインド更紗の斬新な色彩とデザインの帯を纏っていた。
それは、華やかなで勝気な目鼻立ちの華子によく似合っていた。
…華子は大学四年生…。
アラブ首長国連邦のエアラインの客室乗務員に就職が決まったらしいと、政彦が紫織に話していたのを小耳に挟んだ。
大きくなっても紗耶は未だに華子が苦手だ。
貌を合わせれば嫌味と意地悪の弾丸を投げつけてくるからだ。
「…お久しぶりです…」
小さな声で挨拶をして、華子の前を通りすぎようとした時…
「ねえ、紗耶ちゃん。
貴女ももしかして千晴お兄様に…」
「華子さん。ご機嫌よう。
紗耶にはまだ何も知らせていないのですよ」
紫織が穏やかに…けれど牽制するように口を開いた。
「あら、叔母さま。それは失礼いたしました。
では、私も見ざる聞かざる言わざるでおりますわ」
大げさに肩を竦めて見せ謎の言葉を口にすると、華子はくすくすと笑ったのだった。