この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
紗耶は切長の瞳を大きく見開いた。
いきなりの生々しい質問に、聞き間違えたのかと思ったのだ。
「…え?」
「婚約者のどこを愛しているの?」
「…ど、どこ…て…」
戸惑う紗耶に藤木は優しく詫びた。
「ああ、ごめんね。
僕は結婚に懐疑的でね。
…いや、結婚…というより恋愛すべてについて…かな。
最近、よく分からなくなってきたんだよ。
ひとを愛するということがどういうことなのか…。
この年になって、そんな青臭いことを言うなんて情けないけれど…。
…不躾な質問だったかな?
気に触ったのなら申し訳ない」
「…いいえ…」
紗耶は首を振る。
不快には思わなかった。
…少なくとも藤木の表情と口調は真摯なものに思えたからだ。
「…そう。それなら質問を続けていいかな?
紗耶さんは彼のどんなところを愛して、彼と結婚しようと思ったのかな?」
紗耶はどきりとした。
…お兄ちゃまの…。
…そういえば、改めて考えたこともなかったわ…。
紗耶にとって千晴は、出会った瞬間から絶対的な存在だったからだ。
紗耶はゆっくりと、その桜色の口唇を開いた。
「…私にとって、お兄ちゃまは…」
…そうして、自分の心の中を確かめるように、静かに語り始めたのだった。
いきなりの生々しい質問に、聞き間違えたのかと思ったのだ。
「…え?」
「婚約者のどこを愛しているの?」
「…ど、どこ…て…」
戸惑う紗耶に藤木は優しく詫びた。
「ああ、ごめんね。
僕は結婚に懐疑的でね。
…いや、結婚…というより恋愛すべてについて…かな。
最近、よく分からなくなってきたんだよ。
ひとを愛するということがどういうことなのか…。
この年になって、そんな青臭いことを言うなんて情けないけれど…。
…不躾な質問だったかな?
気に触ったのなら申し訳ない」
「…いいえ…」
紗耶は首を振る。
不快には思わなかった。
…少なくとも藤木の表情と口調は真摯なものに思えたからだ。
「…そう。それなら質問を続けていいかな?
紗耶さんは彼のどんなところを愛して、彼と結婚しようと思ったのかな?」
紗耶はどきりとした。
…お兄ちゃまの…。
…そういえば、改めて考えたこともなかったわ…。
紗耶にとって千晴は、出会った瞬間から絶対的な存在だったからだ。
紗耶はゆっくりと、その桜色の口唇を開いた。
「…私にとって、お兄ちゃまは…」
…そうして、自分の心の中を確かめるように、静かに語り始めたのだった。