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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
その夜、自分の部屋のバスルームで紗耶は丁寧にハンカチを洗った。
子どもみたいに鼻をかんでしまったから、藤木に返すわけにはいかない。
…だから、これは紗耶がもらったのだが…。
「君にあげるよ。
…使い古しだから気にしないで」
藤木は優しげに微笑んでくれた。
…あんな…みっともないところを見せてしまって…。
思い出して、頰を赤らめる。
「…今日はおかしな日だったわ…」
小さく呟いた。
…階段で落ちそうになり、藤木に抱き留められた。
千晴とはまた異なる成熟した引き締まったしなやかな身体と温もり…。
深い深い森に咲く百合とひんやりとしたモッシー…そして微かなカーネーションの薫り…。
今思い出しても、胸がどきどきと高鳴る。
…そして、ほぼ知り合ったばかりの男の前で本音を吐露し、感極まって子どものようにぽろぽろ泣いてしまった。
『君はとても綺麗だよ』
…優しい言葉と、美しい榛色の眼差し…。
その瞬間、甘いワインを舐めた時のように身体が熱くなり…胸の奥が甘く切なく疼いたのだ。
「…どうしてかしら…」
紗耶は独りごちる。
「…どうして、こんな気持ちになるのかしら…」
子どもみたいに鼻をかんでしまったから、藤木に返すわけにはいかない。
…だから、これは紗耶がもらったのだが…。
「君にあげるよ。
…使い古しだから気にしないで」
藤木は優しげに微笑んでくれた。
…あんな…みっともないところを見せてしまって…。
思い出して、頰を赤らめる。
「…今日はおかしな日だったわ…」
小さく呟いた。
…階段で落ちそうになり、藤木に抱き留められた。
千晴とはまた異なる成熟した引き締まったしなやかな身体と温もり…。
深い深い森に咲く百合とひんやりとしたモッシー…そして微かなカーネーションの薫り…。
今思い出しても、胸がどきどきと高鳴る。
…そして、ほぼ知り合ったばかりの男の前で本音を吐露し、感極まって子どものようにぽろぽろ泣いてしまった。
『君はとても綺麗だよ』
…優しい言葉と、美しい榛色の眼差し…。
その瞬間、甘いワインを舐めた時のように身体が熱くなり…胸の奥が甘く切なく疼いたのだ。
「…どうしてかしら…」
紗耶は独りごちる。
「…どうして、こんな気持ちになるのかしら…」