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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…いいえ。…ごめんなさい…。お兄ちゃま…。
紗耶が考えなしだったわ…」
俯く紗耶の髪を千晴が優しく撫でる。
「いや、紗耶ちゃんはまだこれから色々なことを学んでゆけば良いからね」
…その優しい声も、仕草も、眼差しも、いつもの千晴だ。
美しい鳶色の瞳には、紗耶への愛情が溢れている。
…けれど…
「…紗耶ちゃんにはこれから高遠家の御台所としての心得を一つ一つ身に付けていってもらうつもりだ。
紗耶ちゃんなら必ず、非の打ち所がない理想的な御台所になれるはずだからね。
何も心配しなくて良いよ。
僕に黙って着いてきてくれたら、それでいいから」
千晴のしなやかな長い腕が、やや強引に紗耶を胸の中に抱きこむ。
「僕が君を美しく洗練された誰もが羨み憧憬するような唯一無二の御台所にする」
…その言葉は、まるで紗耶の知らない千晴のようだった。
「…お兄ちゃま…私…」
咄嗟に言いかける口唇を、千晴がそっと塞ぐ。
「…あ…」
…だから、その先の言葉は、甘い口づけの中に儚げに溶かされていってしまったのだ…。
紗耶が考えなしだったわ…」
俯く紗耶の髪を千晴が優しく撫でる。
「いや、紗耶ちゃんはまだこれから色々なことを学んでゆけば良いからね」
…その優しい声も、仕草も、眼差しも、いつもの千晴だ。
美しい鳶色の瞳には、紗耶への愛情が溢れている。
…けれど…
「…紗耶ちゃんにはこれから高遠家の御台所としての心得を一つ一つ身に付けていってもらうつもりだ。
紗耶ちゃんなら必ず、非の打ち所がない理想的な御台所になれるはずだからね。
何も心配しなくて良いよ。
僕に黙って着いてきてくれたら、それでいいから」
千晴のしなやかな長い腕が、やや強引に紗耶を胸の中に抱きこむ。
「僕が君を美しく洗練された誰もが羨み憧憬するような唯一無二の御台所にする」
…その言葉は、まるで紗耶の知らない千晴のようだった。
「…お兄ちゃま…私…」
咄嗟に言いかける口唇を、千晴がそっと塞ぐ。
「…あ…」
…だから、その先の言葉は、甘い口づけの中に儚げに溶かされていってしまったのだ…。