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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…とても美味しいよ。
初めて作ったとは思えない」
紗耶のマドレーヌを藤木は優しく褒めそやしてくれた。

「ありがとうございます。
…ダージリンのお代わりはいかがですか?」
言いながら席を立ち、新しい茶葉を用意する。
ティファールにミネラルウォーターを注ぎ、スイッチを押す。

藤木はアメリカ滞在が長い割にはコーヒーより紅茶を好むらしい。
今日の茶葉は紗耶が銀座にある紅茶専門店リーフルで購入し、持ち込んだダージリンだ。
紅茶のシャンパンと言われる薫り高いダージリン。
特にインドのヒマラヤの麓近くのダージリン地方で選び抜かれた契約農家で摘み取られた茶葉からしか作られない極上のダージリン茶は、紗耶のお気に入りだ。
そして今や藤木の大のお気に入りになりつつある。

『このダージリン、すごく美味しいね。
こんなに美味しいダージリンは初めて飲んだよ』
初めて藤木に淹れたとき、彼は唸ったほどだった。
それは本当に嬉しかった。

「紗耶さんはお茶を淹れるのがとても上手いね」
と、今日も褒められて
「…私、お茶を淹れることくらいしか取り柄がないんです。
母の作法を見ていて、門前の小僧で覚えただけですけれど…。
…このお店も、母の行きつけで…だから、自分の力で何かしたわけじゃないんです…」
謙遜すると、藤木の穏やかだがきっぱりとした声が掛かった。

「紗耶さんはとても素敵だよ。
確かに君のお母様は素晴らしいひとかも知れないが、それをきちんと素直に学んで自分のものにしているのは、紗耶さん自身の才能やセンスだと思うよ。
君はとても真面目だし努力家だ。賢いし感受性も豊かだ。
けれどどんなときも奥床しい。
決してひけらかしたりしない。
それらは紗耶さんの美徳なんだから、もっと自信を持ちなさい」

藤木の美しい榛色の瞳が、優しく微笑んでいた。





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