この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
ソファに腰掛けた紗耶に、藤木は丁寧に指の手当てをした。
小さな救急箱には一通りの衛生用品や消毒薬、軟膏が揃っていた。
「…昔からよく研究室で小さな怪我をすることがあってね。
そそっかしいんだよ。
だから準備がいいんだ」
藤木が榛色の瞳を和ませて笑った。
…綺麗な瞳…
なぜだかきゅっと胸が甘苦しくなる。
距離が近いからだわ。そうに決まってる…。

「…すみません…」
手を藤木に預けているから、胸の鼓動が止まらない。
…どうして、こんなにどきどきするんだろう…。
その理由は…敢えて考えないようにする。
考えないほうが、きっといい…。

抗生剤の軟膏を塗り絆創膏を器用に貼りながら、藤木がさりげなく尋ねた。
「…どうしたの?
今日は少し沈んでいるように見えるけれど…?」
はっと息を飲む紗耶に
「言いたくないなら言わなくていいけれど…。
何か悩みがあるのかな…て。
大学のことなら、少しは力になれるかもしれないよ」
押し付けがましくなく、付け加える。

「…いいえ…。
そうじゃないんです…」

…なんでもありません。お気になさらないでください…。
そう続けるべきなのだ。

…けれど…
紗耶の薄桃色の口唇から溢れ落ちた言葉は…

「…私…来月、婚約式を挙げることになったのです…」

藤木の手が止まった。

/789ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ