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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…紗耶ちゃんをよろしくお願いします…だってさ。
…お兄ちゃま、声もイケメンプリンスだねえ。
…ちょっとドキドキしちゃったよ。あたしも乙女だなあ〜」
アネゴが陽気に唸りながら、紗耶にスマートフォンを返した。
「…すみません…こんなことまでしていただいて…」
紗耶は頭を深く下げる。
本当に申し訳なくて、合わせる貌がない。
「全然!面白かったよ。
あたし、意外におしとやかなお嬢様の喋り方、上手くなかった?
ねね?イケてたよね?」
アネゴが豪快に笑った。
紗耶に気を遣わせるまいとしているアネゴの優しさが身に染みる。
…アネゴは、今日はサークルの広報誌を仕上げてしまいたいので、紗耶を自宅に泊めても構わないかと、まるで別人のように上品で丁寧な口調で千晴に伺いを尋ねたのち、すんなりと了承を得たのだ。
「…ありがとうございます…。
本当に…ご迷惑ばかりお掛けして…すみません…」
…あんなことがあって…とても千晴が待つ家に帰る気にはならなかった。
かと言って、奥沢の実家に帰るのも嫌だった。
紫織の貌を平常心で見られる自信がなかったのだ。
『…どちらの家にも…帰りたくありません…』
と蚊の鳴くような声で囁く紗耶に
『ならウチにおいでよ。
…気が済むまで泊まっていいよ』
そうアネゴが提案してくれたのだった。
…お兄ちゃま、声もイケメンプリンスだねえ。
…ちょっとドキドキしちゃったよ。あたしも乙女だなあ〜」
アネゴが陽気に唸りながら、紗耶にスマートフォンを返した。
「…すみません…こんなことまでしていただいて…」
紗耶は頭を深く下げる。
本当に申し訳なくて、合わせる貌がない。
「全然!面白かったよ。
あたし、意外におしとやかなお嬢様の喋り方、上手くなかった?
ねね?イケてたよね?」
アネゴが豪快に笑った。
紗耶に気を遣わせるまいとしているアネゴの優しさが身に染みる。
…アネゴは、今日はサークルの広報誌を仕上げてしまいたいので、紗耶を自宅に泊めても構わないかと、まるで別人のように上品で丁寧な口調で千晴に伺いを尋ねたのち、すんなりと了承を得たのだ。
「…ありがとうございます…。
本当に…ご迷惑ばかりお掛けして…すみません…」
…あんなことがあって…とても千晴が待つ家に帰る気にはならなかった。
かと言って、奥沢の実家に帰るのも嫌だった。
紫織の貌を平常心で見られる自信がなかったのだ。
『…どちらの家にも…帰りたくありません…』
と蚊の鳴くような声で囁く紗耶に
『ならウチにおいでよ。
…気が済むまで泊まっていいよ』
そうアネゴが提案してくれたのだった。