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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…ふうん…。
なるほどねえ…」
紗耶の告白を聴き終え、アネゴは隼人が手当てした紗耶の脚の包帯を改めて見遣る。
包帯の白さは隼人の紗耶に対するまっさらな健気な恋心のようだ。
…けれど、その包帯より尚白い雪のような素足を、眩しげに苦しげに見ていた隼人の眼差しを思い出す。

「…あのヤロウ…。許せねえ…!
俺は最初から胡散臭いと思ってたんだ!」
隼人の憤りは大変なものだった。
うろうろとリビングを熊のように歩き回り、まるで落ち着かない。

アネゴは新しいコーヒーを二人に淹れながら、食べたいメニューを聴くようにさらりと紗耶に尋ねる。

「…で?紗耶ちゃんはどうしたいの?」

隼人が嗜める。
「おい。どうしたいも何もないだろう。
あんなタラシの詐欺野郎なんか問題外だ!
紗耶を騙そうとしたんだぞ?
…紗耶は…婚約中なのに!
知っていて誘惑しようとしたんだ。
最悪だろ!」

紗耶はひたすら項垂れ、一言もない。
相当にショックを受けているのだろう。
無理もない。
天然記念物級清楚な世間知らずのお嬢様なのだから。
…けれど…

アネゴはコーヒーを啜りながら首を傾げる。
「…最悪…かなあ…」
「あ?」
隼人が怪訝そうに眉を顰める。
「…恋なんて多かれ少なかれそんなもんじゃない?
男と女が騙し騙され…。
嘘や真実がないまぜになって…。
…それでも相手を好きになる。
法に触れてるワケじゃなし。
…それが恋の醍醐味ってこともあるしさ」
「おい!何言ってんだ!」
隼人が気色ばむ。

「あたし、問題はサーヤがどうしたいか…だけだと思う」
きっぱりと言い放ち、沙耶を見る。

「…サーヤはどうしたいの?
お兄ちゃまのとこに戻る?
それとも、藤木先生がまだ好き?」

紗耶はゆっくりと貌を上げ、その古風な雛人形のように涼しげな瞳でアネゴを見上げた。
…そうして…

「…分からないんです…どうしたらいいか…」
そう、哀しげに小さく呟いたのだった。

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