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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…やめとけよ」
不機嫌そうな声が暗闇の中、唐突に響いた。
紗耶は思わず振り返る。
「…隼人先輩…」
寝ていると思った隼人は、起きていたようだ。
「会ってどうするんだ?
お前を騙したヤツだぞ?
お前の母さんと付き合って…よりを戻したくてお前に近づいたんだろ?
ゲス野郎クズ野郎だ。
…お兄ちゃまと結婚しろ。
昔から憧れの王子様だったんだろ?
あのひと以上にお前に相応しいひとはいないだろ?
その方がお前はきっと幸せになる」
…冷静になって考えろ。
怒ったようにそう言うと、隼人は音を立てて寝返りを打ち毛布を被った。
「…隼人先輩…」
「…ほんと…不器用なやつ…。
今がサイコーのチャンスなのにさ」
アネゴが呆れたようにため息をついた。
「…え…?」
「ううん。なんでもない。
あのさ、紗耶」
アネゴの大きな瞳が紗耶を優しくじっと見つめる。
「あたしは紗耶がどんな選択をしても受け止める」
「…アネゴ先輩…」
「自分の人生は自分で決めなきゃね」
…そうじゃなきゃ、あとで悔いが残るよ…。
優しいけれどきっぱりとしたその言葉は、いつまでも紗耶の胸に残ったのだ…。
不機嫌そうな声が暗闇の中、唐突に響いた。
紗耶は思わず振り返る。
「…隼人先輩…」
寝ていると思った隼人は、起きていたようだ。
「会ってどうするんだ?
お前を騙したヤツだぞ?
お前の母さんと付き合って…よりを戻したくてお前に近づいたんだろ?
ゲス野郎クズ野郎だ。
…お兄ちゃまと結婚しろ。
昔から憧れの王子様だったんだろ?
あのひと以上にお前に相応しいひとはいないだろ?
その方がお前はきっと幸せになる」
…冷静になって考えろ。
怒ったようにそう言うと、隼人は音を立てて寝返りを打ち毛布を被った。
「…隼人先輩…」
「…ほんと…不器用なやつ…。
今がサイコーのチャンスなのにさ」
アネゴが呆れたようにため息をついた。
「…え…?」
「ううん。なんでもない。
あのさ、紗耶」
アネゴの大きな瞳が紗耶を優しくじっと見つめる。
「あたしは紗耶がどんな選択をしても受け止める」
「…アネゴ先輩…」
「自分の人生は自分で決めなきゃね」
…そうじゃなきゃ、あとで悔いが残るよ…。
優しいけれどきっぱりとしたその言葉は、いつまでも紗耶の胸に残ったのだ…。