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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「まあまあ!紗耶お嬢様!
すっかり大人っぽくお綺麗になられて!」
母屋で紗耶を見るなり、感激屋の家政婦のテルは涙ぐんで声を上げた。
「…あんなにお小さかった紗耶お嬢様が…もうすぐ花嫁様になられるのですねえ…。
…テルも歳をとるはずです…」
「テルさん…」
紗耶も思わず胸がいっぱいになる。
家政婦のテルは紗耶が生まれた時からずっとこの家にいた。
明るくおおらかでてきぱき家事をこなすテルは、紗耶を自分の孫のように可愛がってくれた。
テルは、人見知りが激しく内気な紗耶が気兼ねなく甘えられる数少ない大人のひとりだったのだ。
「何を言っているの。
まだまだテルさんには元気でいてもらわなくては…。
だってもうすぐ我が家には赤ちゃんが生まれるのですもの。
忙しくなるわよ」
広いカウンターキッチンでタルトタタンを綺麗に切り分けながら、紫織が明るく励ます。
その言葉や表情の端々に、再び母になる幸せが滲み出ているようだ。
「本当だわ。
テルさん。お母様をお願いね。
色々とお力になって差し上げてね」
正式に婚約したらそう頻繁には実家には帰れないだろう。
四十すぎてからの出産や育児は、きっと大変なはずだ。
ベテランの家政婦のテルが紫織のそばにいてくれたら、こんなに心強いことはない。
「そうですねえ。
また可愛い赤ちゃんをお育てできるなんて、テルは幸せですよ。
おばあちゃんパワーで、ひとつ長生きして頑張るとしますかね」
ガッツポーズを見せるテルに、二人は思わず温かな笑みを漏らした。
すっかり大人っぽくお綺麗になられて!」
母屋で紗耶を見るなり、感激屋の家政婦のテルは涙ぐんで声を上げた。
「…あんなにお小さかった紗耶お嬢様が…もうすぐ花嫁様になられるのですねえ…。
…テルも歳をとるはずです…」
「テルさん…」
紗耶も思わず胸がいっぱいになる。
家政婦のテルは紗耶が生まれた時からずっとこの家にいた。
明るくおおらかでてきぱき家事をこなすテルは、紗耶を自分の孫のように可愛がってくれた。
テルは、人見知りが激しく内気な紗耶が気兼ねなく甘えられる数少ない大人のひとりだったのだ。
「何を言っているの。
まだまだテルさんには元気でいてもらわなくては…。
だってもうすぐ我が家には赤ちゃんが生まれるのですもの。
忙しくなるわよ」
広いカウンターキッチンでタルトタタンを綺麗に切り分けながら、紫織が明るく励ます。
その言葉や表情の端々に、再び母になる幸せが滲み出ているようだ。
「本当だわ。
テルさん。お母様をお願いね。
色々とお力になって差し上げてね」
正式に婚約したらそう頻繁には実家には帰れないだろう。
四十すぎてからの出産や育児は、きっと大変なはずだ。
ベテランの家政婦のテルが紫織のそばにいてくれたら、こんなに心強いことはない。
「そうですねえ。
また可愛い赤ちゃんをお育てできるなんて、テルは幸せですよ。
おばあちゃんパワーで、ひとつ長生きして頑張るとしますかね」
ガッツポーズを見せるテルに、二人は思わず温かな笑みを漏らした。

