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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
徳子の話が終わると、千晴はその手にコンテ・ド・シャンボールの花を持ち、口を開いた。
「…この花は我が高遠家のシンボルとも言われている花です。
その歴史をこれからお話ししましょう」
千晴は優雅な所作で立ち上がり、まるでお伽話を紐解くかのように低音の艶やかな声で語り始めた。
「…皆さんはすでにご存知かも知れませんが、この薔薇はコンテ・ド・シャンボールと言う人物の名前です。
…彼はフランス革命後のブルボン王朝、シャルル十世の孫として生まれました。
ブルボン王朝の正当な後継者だったのです。
けれど、王政復古を夢見ていた彼は、議会が突きつける三色国旗を断固として受け入れず、ブルボン王朝の紋章、白百合の旗に拘りました。
そのために、ブルボン王朝の復活は露と消えたのです。
この美しく芳しい薔薇は、その気高い矜持を保ち続けたシャンボール伯爵のために敬意を表して捧げられた薔薇なのです。
…大お祖父様のお父上は若き日にパリに留学をなされて、その話に大変感銘を受けられ、この薔薇を我が高遠家の象徴の花とすべく日本にお持ち帰りになられました。
…この薔薇のように高遠家の子孫が気高く、誇り高く、美しく生きるようにと…」
千晴はコンテ・ド・シャンボールを手に、上座から足を踏み出した。
…そうして、神に誓う宣誓のように厳かに告げたのだった。
「…今宵、私はこの薔薇に相応しい私の花嫁を選ぶことにいたします」
「…この花は我が高遠家のシンボルとも言われている花です。
その歴史をこれからお話ししましょう」
千晴は優雅な所作で立ち上がり、まるでお伽話を紐解くかのように低音の艶やかな声で語り始めた。
「…皆さんはすでにご存知かも知れませんが、この薔薇はコンテ・ド・シャンボールと言う人物の名前です。
…彼はフランス革命後のブルボン王朝、シャルル十世の孫として生まれました。
ブルボン王朝の正当な後継者だったのです。
けれど、王政復古を夢見ていた彼は、議会が突きつける三色国旗を断固として受け入れず、ブルボン王朝の紋章、白百合の旗に拘りました。
そのために、ブルボン王朝の復活は露と消えたのです。
この美しく芳しい薔薇は、その気高い矜持を保ち続けたシャンボール伯爵のために敬意を表して捧げられた薔薇なのです。
…大お祖父様のお父上は若き日にパリに留学をなされて、その話に大変感銘を受けられ、この薔薇を我が高遠家の象徴の花とすべく日本にお持ち帰りになられました。
…この薔薇のように高遠家の子孫が気高く、誇り高く、美しく生きるようにと…」
千晴はコンテ・ド・シャンボールを手に、上座から足を踏み出した。
…そうして、神に誓う宣誓のように厳かに告げたのだった。
「…今宵、私はこの薔薇に相応しい私の花嫁を選ぶことにいたします」