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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「何を言っているの?紗耶ちゃん…」
千晴の端麗な眉が跳ね上がり、つかつかと近づく。

…こんな…深刻な表情の千晴は初めて見る。
脚ががくがくと震え出す。
逃げ出したい…。
…けれどできない。
逃げてはならない。
すべてを、千晴に告白するまでは…。

「…私…好きな人がいます」

千晴の眼差しが一気に険しくなった。
「誰?サークルのあの男の子?」
「違います」
「じゃあ誰?」

紗耶は一瞬瞼を閉じ…ゆっくりと千晴を見上げ、口唇を開く。
「…大学の…藤木先生です…」
「…藤木…?」
はっとしたように美しい鳶色の瞳を見開く。

「もしかして、紗耶ちゃんがアルバイトしている研究室の…?」
「…はい…」

信じられないというような表情で、千晴が叫ぶ。
「そんな…!
やはり紗耶ちゃんはその男に誘惑されたんだね。
怪しいと思っていたんだ。
いきなり助手のアルバイトしないかなんて、最初から下心があったに違いない。
紗耶ちゃんはその男の毒牙にかかってしまったんだよ」

千晴は紗耶が藤木に誘惑されたと決めつけている。
紗耶は慌てて首を振った。
「違うの!
私が…私が勝手に先生のことを好きなの!
先生は…私のこと、なんとも思っていないわ…!」

…だって…藤木先生はお母様の恋人だったのですもの…。
そして…お母様を取り戻すために私に近づいたのですもの…。
けれど、それは決して口にしてはならない事実だ…。

「そんな馬鹿な…!
…紗耶ちゃんは騙されたんだよ。その男に。
何をされたの?藤木に…!」
怒りを露わに千晴は紗耶に詰め寄る。
怯えたように、紗耶は思わず後退る。
「何も…何もされてはいないわ。
私が…私が一方的に先生を好きなの。
…だけれど、こんな気持ちで千晴お兄ちゃまと結婚するわけにはいかないわ。
そんなこと、お兄ちゃまへの裏切りだもの…!」

「…紗耶ちゃん…!」
紗耶の正直で純粋な告白は、千晴の怒りを更に掻き立てることでしかなかった。
ぞっとする恐ろしいほどの鋭い眼差しで、千晴は紗耶の腕を強引に引き寄せた。
…怒りを秘めた冷たい声が囁く。

「裏切り?何を言っているの?
紗耶ちゃん。君が僕から離れることが、裏切りだ。
許さないよ。そんなこと。
紗耶ちゃんは、僕の花嫁になるんだ」
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