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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
長い長い廊下を駆け抜ける。
…その間に七重と八重に会わなかったのは奇跡だ。

…誰にも見られないうちに、早くここから逃げなくては…。
…早く…早くここから出なくては…。
何のために?
…藤木に…藤木に会うためだ…。
会ってどうするかなんて考えていない。
とにかく、会いたい。
会いたいだけなのだ。

ドレスをたくし上げ、息を切らして走り続ける。
ヒールが絨毯に取られ、何回も転んだ。
転んではまた立ち上がり、走り続けた。

…廊下が長い…。
いつまで経っても玄関に辿り着けない。
そうこうしているうちに、千晴が追いかけてくるのではないかと、紗耶は気が気ではなかった。

必死で走り続け、あと少しで玄関ホールへと続く回廊に辿り着いた時…。

「紗耶?お前何してんだ?」
「サーヤ!駆けっこしてんの?借り物競走?」

呑気な声が背後から掛かった。
慌てて振り向くと、中庭のバルコニー入り口から隼人とアネゴが貌を覗かせていた。
「隼人先輩!アネゴ先輩!」

隼人は黒い細身のスーツに真っ赤なシャツ、アネゴはド派手なショッキングピンクの振り袖に黒い別珍のパッチワーク帯、足元は黒いドクター・マーチンのブーツという珍妙な姿だ。
…どうやら、彼らなりの正装らしい。

「いやあ〜、それにしても広いな、お前んち。
ベルサイユ宮殿か?」
「ベルサイユ、行ったことないくせに。
…ちょっとこんなゴージャスなお屋敷、もう二度と来られないだろうから隼人と二人探検しようって…。
あれ?どした?サーヤ…」

 二人の貌を見た瞬間、崩れ落ちそうになる。
けれど、今座り込むわけにはいかない。
そんな時間はない。

紗耶は息を整える間もなく、早口で告げた。

「私…私…お兄ちゃまとは結婚しません。
私…藤木先生に逢いに行きます…!」

二人は呆気に取られたかのように、ぽかんと口を開けた。

やがて、アネゴが両手を広げた。
「マジか!ジーザス!サーヤちゃん!」

隼人が怒ったように紗耶の腕を掴んだ。
「何言ってんだ、お前。
自分が何言ってんのか分かってんのか⁈」

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