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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
アネゴが機敏に空気を読む。
「…もしかしてサーヤ、お兄ちゃまにそれ言った?」
「…はい」
「追いかけてくるんじゃない?お兄ちゃま…。
だって、あんた今から婚約式すっぽかすワケでしょ?」
「はい」
「はい…って、おい!マジかよ…!」
隼人が凛々しい眉を顰めた。
アネゴが紗耶を中庭に素早く誘う。
「とりあえず、どこかに隠れて話聞こっか。
…こっち…!」
三人は中庭の隅にある小さな古い東屋に走り込む。
庭園は招待客で溢れているが、中庭には人気が全くない。
けれど、いずれ七重たちが紗耶を探しに来るだろう。

震える手を握りしめ、紗耶は訴える。
「…私…藤木先生に逢いに行きます。
逢いに行きたいんです」
「お前、藤木に拒否られたんだろ?
行ってどうすんだよ」
「…先生…私を好きだと言ってくださったんです。
だから、それを確かめたいんです」

「紗耶。落ち着け」
隼人が紗耶の両肩に手を置く。
そうして、紗耶を説得するように語り始めた。
「今、式をすっぽかしたら、お前はすべてを失うんだぞ?
お兄ちゃまはもちろん、お前の両親の信頼も、ここのひとたち…親戚やいろんなひとたちの信頼も…。
お前が積み上げてきたものや…それから、お前の人生で大切なものをすべて失うかもしれないんだぞ?
その覚悟はあるのか?」

紗耶は一瞬息を呑んだ。
…お兄ちゃまとは、二度と元の関係には戻れないだろう。
お母様やお父様…。
お母様は、事実を知ったらどれだけショックを受けられるだろう。
お父様は、私に失望なさるだろう。
大お祖母様は…私を決してお許しにはならないだろう。
けれど、逡巡はなかった。

紗耶は深呼吸し、ゆっくりと答えた。

「あります。
何もかも失ってもいいです。
失ってもいいから、藤木先生に逢いたいです。
今じゃなきゃだめなんです。
だから、逢いに行かせてください…!」




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