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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
隼人の小さな声の合図を受け、二人は裏口を出る。

「サーヤ、本当にいいんだね?」
アネゴが紗耶の手を強く握りしめ、尋ねた。
「本当に後悔しないんだね?」
…ここを出たら、もう元には戻れないんだよ?
そんなアネゴの心の声を、感じ取る。

「はい。
…私、こんな気持ち初めてなんです。
今、藤木先生に会いに行かなかったら、一生後悔する。
何もかも失っても構わない。
…自分の中に、こんな激しい気持ちがあったなんて…思ってもみなかった。
だから、何があっても後悔はしません」
自分でも驚くほどに強い言葉が口唇から溢れ出した。

アネゴは意外そうに眼を見張り…やがてにっこりと笑った。 
「そっか。ならもう止めないよ。
…そうだね。自分の気持ちに正直になることは大切だね。
それが無茶なことに見えてもね…」
…あたしも…
と、言いかけて…あっさりと口を噤み、紗耶の背中をぽんと押す。

「行きな。あとは任せて。
心配しなくていいよ」
「…アネゴ先輩…!」
込み上げてくる涙を、必死に抑える。

「おい。永の別れじゃねえんだから」
隼人は黒光りするビッグバイクに跨り、ヘルメットを放り投げた。
紗耶が慌ててキャッチする。

「早く被れ。
…あと、そのドレスな。
巻き込まれたら怪我するぜ」
「…あ…」
紗耶は足元を見下ろす。
…ペールブルーのレースのドレスはヒールが隠れ、更に裾を引くほどに長い。

「…分かりました」
紗耶はドレスの裾を力任せに引き千切る。
絹が引き裂かれる音が響き…ふわりとしたクラシカルなドレスは、たちまちシンプルなワンピースに早変わりした。

「お〜!パンクだ、パンク!かっけ〜!サーヤ!」
アネゴが口笛を吹く。

隼人が眩しげに一瞥し…
「…乗れ。早くしねえと、婆さんたちが追っかけてくるだろ」
と、促した。

「はい!隼人先輩…!ありがとうございます…!」
紗耶が隼人のバイクに跨る。

「しっかり捕まっとけ。
…行き先は…あいつの家だ」
「家?」
「…あいつ、うちの大学を辞任したんだよ。
昨日サイトに載ってた。
また海外の大学に戻るってさ。
…トンヅラされる前にきちんとオトシマエ着けねえとな」
隼人が振り返り、にやりと笑った。

紗耶は大きく頷き、隼人の腰にしがみついた。
「はい!オトシマエ、着けます!」

バイクの激しい爆音が、心臓に響き渡った。




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