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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「…あ〜あ…。
本当にいっちゃったよ…」
遠ざかるバイクを見送りながら、アネゴは半ば呆れたように呟いた。
「なんだこれ?映画の卒業?…じゃないしねえ。
隼人はタダの運転手だしねえ」
アネゴは肩を竦める。
「…まさか本当に出ていくとはねえ…。
すげえな、サーヤ。ある意味、最強のお嬢様だな」
…おっそろしいほどに浮世離れした女の子だった。
一目見たときからわかった。
真珠や薔薇や高価な絹や宝石のような砂糖菓子や…この世の美しいものだけで出来たような純粋無垢で繊細な女の子…。
隼人が一目惚れしたのもすぐ分かった。
ソッコー失恋したのも分かった。
「…また失恋か…。ご愁傷様。
なのにせっせとライバルに送り届けちゃって…。
あいつはアホだな。アホ」
…でも、そんなとこがちょっといいよね…。
小さく呟いてみる。
本人には絶対言わない。
今だけだ。
「…さあてと…。
一芝居、打ってくるかね」
アネゴはふわふわの金髪をきりりとお団子に結い直し、珊瑚の簪を留め直した。
そうしてのんびりと…けれど力強い足取りでずんずんと屋敷の中へと戻っていった。
本当にいっちゃったよ…」
遠ざかるバイクを見送りながら、アネゴは半ば呆れたように呟いた。
「なんだこれ?映画の卒業?…じゃないしねえ。
隼人はタダの運転手だしねえ」
アネゴは肩を竦める。
「…まさか本当に出ていくとはねえ…。
すげえな、サーヤ。ある意味、最強のお嬢様だな」
…おっそろしいほどに浮世離れした女の子だった。
一目見たときからわかった。
真珠や薔薇や高価な絹や宝石のような砂糖菓子や…この世の美しいものだけで出来たような純粋無垢で繊細な女の子…。
隼人が一目惚れしたのもすぐ分かった。
ソッコー失恋したのも分かった。
「…また失恋か…。ご愁傷様。
なのにせっせとライバルに送り届けちゃって…。
あいつはアホだな。アホ」
…でも、そんなとこがちょっといいよね…。
小さく呟いてみる。
本人には絶対言わない。
今だけだ。
「…さあてと…。
一芝居、打ってくるかね」
アネゴはふわふわの金髪をきりりとお団子に結い直し、珊瑚の簪を留め直した。
そうしてのんびりと…けれど力強い足取りでずんずんと屋敷の中へと戻っていった。

