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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「好きなんでしょ?いいんじゃないの?別に。
歳の差を気にしてる?
そんなのナンセンスだよ。
フランスの大統領なんか母親くらいの歳の元教師と恋に落ちて結婚したじゃん」
父は寂しげに微笑むと、紫音の頭をぽんぽん叩き、窓辺に向かった。
「…彼女は…紗耶さんは婚約しているんだよ。
確か、今日が婚約式だ…」
「そんなの、壊しちまえばいいさ!」
もどかしげに言い放つ。
「…パパは…昔、紗耶さんのお母様と付き合っていた。
…とても愛していたよ。
…けれど…パパの選択のせいで彼女を苦しませ、悲しませた。
その過ちをまた繰り返すのは…もう耐えられない…」
すらりとした美しい背中は、胸が張り裂けそうなほどの孤独感に満ちていた。
…こんなパパを、俺は見たかったわけじゃない。
紫音は思わず叫んでいた。
「違うよ…!そうじゃない!
パパの過ちは、紫織さんを苦しませたことじゃない!
彼女から逃げたことだよ…!」
父の背中がびくりと震える。
「パパはまた、紗耶さんから逃げるの?
愛しているのに…?」
…深いため息とともに、小さな呟きが聞こえた。
「…紫音…。パパはね…」
…そうして、その音は不意に、聞こえてきたのだ。
喧騒しいチャイムと…
「先生!先生!開けて!」
…紗耶の声だった。
歳の差を気にしてる?
そんなのナンセンスだよ。
フランスの大統領なんか母親くらいの歳の元教師と恋に落ちて結婚したじゃん」
父は寂しげに微笑むと、紫音の頭をぽんぽん叩き、窓辺に向かった。
「…彼女は…紗耶さんは婚約しているんだよ。
確か、今日が婚約式だ…」
「そんなの、壊しちまえばいいさ!」
もどかしげに言い放つ。
「…パパは…昔、紗耶さんのお母様と付き合っていた。
…とても愛していたよ。
…けれど…パパの選択のせいで彼女を苦しませ、悲しませた。
その過ちをまた繰り返すのは…もう耐えられない…」
すらりとした美しい背中は、胸が張り裂けそうなほどの孤独感に満ちていた。
…こんなパパを、俺は見たかったわけじゃない。
紫音は思わず叫んでいた。
「違うよ…!そうじゃない!
パパの過ちは、紫織さんを苦しませたことじゃない!
彼女から逃げたことだよ…!」
父の背中がびくりと震える。
「パパはまた、紗耶さんから逃げるの?
愛しているのに…?」
…深いため息とともに、小さな呟きが聞こえた。
「…紫音…。パパはね…」
…そうして、その音は不意に、聞こえてきたのだ。
喧騒しいチャイムと…
「先生!先生!開けて!」
…紗耶の声だった。

