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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…あ〜あ…。本当に行っちゃったよ…。
息子を残してさ…」
紫音は呆れたように…けれどどこか嬉しげにつぶやいた。

「大丈夫かな…。これ、犯罪にならないかな?」
もう一人残された…紗耶を送ってきた若い男…隼人先輩と呼ばれていた青年は心配そうに凛々しい眉を顰めた。
「紗耶、未成年だからさ。
高遠の家のひとが警察に届けたら…ヤバくねえか。
特にあんたのオヤジさん」

…どうやら彼は、紗耶が好きだったらしい。
お人好しだな。恋仇の心配までしてさ。ご苦労様。
そう思いながら…
「厳密に言うとそうだけど…そこまで騒ぎにしないんじゃないの?
あっちの家は名家なんでしょ?
そんなスキャンダルになること、わざわざ表沙汰にしないと思うね。
ましてや紗耶さんは若い女の子なんだからさ」
そう答えると、隼人は「お?」と言うような表情を見せた。
「…あんた、良い人なんだな」
「へ?なんで?」
「自分のオヤジさんが若い娘と出て行ったらさ、フツーは腹立ったりショックだったりするだろ?」

紫音は肩を竦めた。
「別に。パパとママはまあ円満離婚だったし。
悲哀に満ちたパパをいつまでも見てるのはウザいしね」
「へえ…」

少し感心したように紫音を見遣り、開けっぱなしな部屋を見回した。
「…あんた、引っ越し?」
紫音はあっさり頷く。
「ニューヨークに帰るよ。
セコセコした日本は苦手だ。
…NBAはないし、タコベルはないし…」
ぶつぶつ呟く紫音に
「え?タコ焼き?」
「タコベル!タコスの店だよ」
ややバカにしたように言ったのに、隼人はにこにこしながら近づいて来た。
「へえ。タコスね。
日本のタコ焼きもイケるんだぜ?
どう?食いに行かね?」

紫音は呆気に取られ…けれどすぐに笑い出した。
「タコスとタコ焼きは違うだろ。
…でも…ま、付き合ってやってもいいよ」
つんと澄ましてやる。
「よし。行こう。
きっと日本に居たくなるぜ」
隼人は陽気に膝を叩いた。

…なんとなく甘酸っぱい感傷を共有するふたりは、そのままくすくすと笑い続けたのだった…。
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