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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
…え…?
何が起こったのか理解できない紗耶は恐る恐る貌を上げた。

「…僕の花嫁に、なってください。紗耶ちゃん。
君以外、僕の花嫁は考えられない」

…傍らの紫織が微かに身動ぎをした。

その気配に、紗耶は漸く事態を把握した。

「…え…」
…お母様ではなく…私…?

信じられない。
…いや、きっと何かの間違いだ。
ああ、そうだ。
テルさんが言っていたじゃない。
何かサプライズパーティーがあるかも知れませんよ…て。
これがきっとそうなのだ。
きっと千晴が紗耶を揶揄っているのだ。

紗耶の心を察知したかのように、千晴が近づきその美しい黒い瞳でじっと見つめる。
「…本気だよ、紗耶ちゃん。
僕は、ずっと君を花嫁にしたいと思っていた」
「…千晴…お兄ちゃま…」

隣の華子が耐えきれぬように荒々しく立ち上がった。
「馬鹿馬鹿しい…!とんだ茶番だわ!
紗耶ちゃんが花嫁様?
ありえないわ!
分家のお家の、しかもこんな取り柄のない陰気な子が⁈」
紗耶は思わず俯く。
…本当に、そうだ。
私なんか…千晴お兄ちゃまの花嫁様に相応しいはずがない。
お兄ちゃまは、何か勘違いしているんだ。
…だって…お兄ちゃまが愛しているひとは…。

「華子ちゃん」
ひやりとするほどに、冷たい声が飛んだ。
「口を慎んでくれないか。
紗耶ちゃんは、これから僕の花嫁になるひとだ。
紗耶ちゃんへの侮辱は僕への侮辱だ。
…よく覚えておき給え」

大広間の人々が固唾を飲んだ気配が、漣のように漂う。

華子が唇を歪め、憤然と走り去った。
「お、お姉様!待って!」
そのあとを、麗香が追う。
華子の両親が千晴や上座の徳子に平身低頭に頭を下げ、慌ててそのあとに続く。

「…やれやれ。
自分が美しいと思い上がった薔薇ほどタチが悪いものはないわねえ」

徳子が退屈な芝居見物の幕間のように呟いた。






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