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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「ごめんなさいね。いきなり…。
決して意地悪で言っているのではないのよ」
済まなそうに詫びる澄佳からは、真摯な誠実な人柄が伝わってくる。

「…紗耶さんは藤木先生と結婚したいのかしら?」
結婚…。その言葉にどきりとする。
「…はい。そうです」
…藤木と一緒にいたい。
ずっと、ずっと、離れることなく傍にいたい。
形式はどうでもいいのだ。
彼の傍にいられるならば…。

澄佳はまるで優しい姉のような眼差しで紗耶を見つめた。
「…藤木先生は多分五十歳近いわよね?
決してお若い年齢ではないわ。
だからもし貴女と結婚しても、お子様を儲けようとはなさらないかも知れない…。
ご自分の年齢を考えられたら、子どもを作ることが最良のこととは言い切れないもの。
けれど、お若い貴女は欲しいと思うかもしれない。
…でもね、欲しいと思っても子どもはすぐに授かるとは限らないのよ」

生々しい発言の数々に、紗耶は思わず息を呑む。
「…澄佳さん…」

澄佳はベビーベッドの中、すやすや眠る類の髪を愛おしげにそっと撫でた。
その慈愛に満ちた美しく気高い横貌は、まるで聖母マリアのようだ。
「…私ね、なかなか柊司さんとの赤ちゃんが授からなくてね、
少し悩んだことがあるの。
このまま、ずっと赤ちゃんを授からなかったら、柊司さんと二人だけの人生を生きてゆく…。
そのことを私は構わないけれど、柊司さんは納得してくれるかしら…。
二人だけの人生を柊司さんは幸せに感じてくれるかしら…。
…子どもがすべてではないけれど、持たない人生で私たちは後悔はしないかしら…。
ぎくしゃくすることなく、幸せに生きてゆけるかしら…て…」

…子ども…。
そんなこと、考えたこともなかった…。
紗耶はただ藤木のことがどうしても忘れられなくて、会いたくて、あと先考えずにひたすらに走り出して来たのだから。

…結婚…子ども…。

紗耶が藤木と一緒にいるためには、そういった現実と向き合わなければならないのだ…。
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