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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
高台の藤木の実家から長く続く石畳みの階段を降りると、そこはもう白い砂浜が広がる穏やかな内房の海が広がっていた。

「…わあ…綺麗!」
紗耶はうれしげに叫んだ。

「十二月だから昼間でもやはり寒いね。
もう一枚羽織るものを持ってこようか?」
気遣う藤木に紗耶は首を振った。
「大丈夫です。澄佳さんのカーディガン、とても暖かいです。
…海…久しぶり!」
サンダルを脱ぎ、白い素足になりながら、藤木を振り返る。
「去年、家族でハワイに行ったんですけど、暑さで熱中症になってしまって…。
父が心配してホテルでずっと寝ていたんです。
ハワイ島にも行くはずだったのに、最後の日に少し街歩きしてシェイブアイスとパンケーキを食べておしまい…」
「…そう…。それは残念だったね」
にこにこと優しく微笑まれる。
「だから、嬉しい…。
…あ、船がたくさん…!
あれ、漁船ですか?」

紗耶の白い指が指し示す方を、藤木が見つめる。
…冬とは思えない穏やかな凪いだ海の波間に、小さな漁船が何隻か長閑に漂っていた。

「そう。この辺りは漁村だからね。
…早朝は海女さんの素潜り漁も見られるよ。
海女さんが吹く独特の呼吸法の磯笛が木霊して…。
…懐かしいな…」

…そうして、また手を差し伸べた。

「…少し、歩こうか。
…あの灯台まで」

眼差しを見遣った先には、突き出た岬の上に古びた灯台が建っていたのだ。
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