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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

その灯台はまるで穏やかな瑠璃色の海と対峙するかのように、古めかしくも無骨な姿でごつごつとした岩壁で出来た岬の上に飄々と佇んでいた。
「…灯台…。初めて近くで見たわ…」
見上げながら、素直な感想を呟く。
「…あの灯台には名前があってね。
星逢いの灯台というんだ」
藤木が同じように灯台を見上げる。
「…星逢いの灯台…?
綺麗な名前ね…」
「そう。
…この灯台に纏わるお伽噺が由来さ…」
「お伽噺?
聞きたいわ!
話して、先生…」
紗耶が瞳を輝かせる。
夕凪が静かに迫っていた。
淡いラベンダー色の紗幕を掛けたように空が少しずつ、色づいてゆく…。
藤木は紗耶を砂浜に座らせ、隣に座った。
…深い深い森に咲く百合と、ひんやりとした苔の薫りがふわりと潮風に乗る…。
そうして藤木は、紗耶の肩を優しく抱き寄せて、静かに語り始めた。
「…昔、昔のお話だ…。
もう今や、記憶に残るひともいない…。
あと僅かで、この世から消え果ててしまうような…そんな儚い夢物語のような…ね…」
「…灯台…。初めて近くで見たわ…」
見上げながら、素直な感想を呟く。
「…あの灯台には名前があってね。
星逢いの灯台というんだ」
藤木が同じように灯台を見上げる。
「…星逢いの灯台…?
綺麗な名前ね…」
「そう。
…この灯台に纏わるお伽噺が由来さ…」
「お伽噺?
聞きたいわ!
話して、先生…」
紗耶が瞳を輝かせる。
夕凪が静かに迫っていた。
淡いラベンダー色の紗幕を掛けたように空が少しずつ、色づいてゆく…。
藤木は紗耶を砂浜に座らせ、隣に座った。
…深い深い森に咲く百合と、ひんやりとした苔の薫りがふわりと潮風に乗る…。
そうして藤木は、紗耶の肩を優しく抱き寄せて、静かに語り始めた。
「…昔、昔のお話だ…。
もう今や、記憶に残るひともいない…。
あと僅かで、この世から消え果ててしまうような…そんな儚い夢物語のような…ね…」

