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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「娘は泣きながら恋人の名を叫び続けました。
…けれど、そこに浮かぶのは夜光虫の弱々しい儚い光だけ…。
もう二度と、セイレーンも恋人も娘の前に現れませんでした。
…その後、娘は私財を投げうって、その海岸の岬に灯台を建てました。
その灯台は毎晩、暗い海を照らす灯りを灯します。
…何年もしたのち、娘はようやくその訳を語り始めました。
『この灯台の灯りは、きっと海の底まで照らすでしょう。
そこにいるあのひとは、この灯りを見て私のことを思い出してくれるかもしれません。
…許してくれないかもしれないけれど…思い出してくれるだけでいいのです。
…そうしていつか、この灯台の灯りと夜光虫の光が交差する海で、私とあのひとは再会出来るような気がするのです。
…天の河に流れる星屑のような夜の海で…。
その日を夢見て、私はこの灯台に灯りを灯し続けます…』
…その時から、この灯台は哀しい恋人たちの物語を記憶するために、星逢いの灯台と名付けられたのでした…」
…けれど、そこに浮かぶのは夜光虫の弱々しい儚い光だけ…。
もう二度と、セイレーンも恋人も娘の前に現れませんでした。
…その後、娘は私財を投げうって、その海岸の岬に灯台を建てました。
その灯台は毎晩、暗い海を照らす灯りを灯します。
…何年もしたのち、娘はようやくその訳を語り始めました。
『この灯台の灯りは、きっと海の底まで照らすでしょう。
そこにいるあのひとは、この灯りを見て私のことを思い出してくれるかもしれません。
…許してくれないかもしれないけれど…思い出してくれるだけでいいのです。
…そうしていつか、この灯台の灯りと夜光虫の光が交差する海で、私とあのひとは再会出来るような気がするのです。
…天の河に流れる星屑のような夜の海で…。
その日を夢見て、私はこの灯台に灯りを灯し続けます…』
…その時から、この灯台は哀しい恋人たちの物語を記憶するために、星逢いの灯台と名付けられたのでした…」

