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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「…そんなこと、分からないわ。
分かりたくもないわ」
紗耶は頑なに首を振った。

「私はずっと先生が好きだわ。
ずっとずっと、先生がおじいさんになっても…どうなっても愛しているわ」
藤木が眼差しを和らげ、そのまま紗耶を強く抱きしめた。
「…ありがとう、紗耶」

紗耶が自分から藤木に口づけを求めるように貌を近づけた。

「…大好きよ、先生…。
…キスして…」
…キスをねだるなど、初めての経験だ。
けれど、少しも恥ずかしくなかった。
藤木に対しては、いくらでも強欲に、我儘になれる自分が不思議だった。

藤木の長く美しい指が紗耶の髪を掻き上げ、小さな顎を持ち上げた。
冷たい潮風から守るように、藤木は紗耶をそのしなやかな腕に抱き竦める。

「…愛している…紗耶…」

与えられたのは優しい愛の言葉と、身も心も蕩けるような甘美な口づけだった…。

二人は狂おしく口唇を求め合い、狂おしく抱き合い、時を忘れたのだ…。
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