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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
「瑠璃子!お前はペラペラと余計なことを…」
諫める涼太に瑠璃子は唇を突き出す。
「だってほんとのことだもん。
涼ちゃんは今も私の海賊だもん」
そのやや甘えた口調や仕草は女将や人妻というよりは、まだまだ無邪気な少女のようだ。
「涼ちゃんには私がこの町に来た高校生の時に一目惚れして、私をお嫁様にして!…て、ずっと言い続けて、ようやくお嫁様にしてもらったんです。
だから私は押しかけ女房なの」
ふふふ…と楽しげに笑った。

「…まったくお前はもう…。
お喋りはそれくらいにして、お二人に早くお茶を出さねえか」
カウンター越しに涼太はむっとしたように眉を顰めたが、そこには照れ隠しの色があった。

「はあい」
瑠璃子は素直にお茶の支度を始めた。

紗耶は瑠璃子の屈託のなさに少し驚きながらも、とても好感を持った。
…素直に愛するひとを好きと言えるのは素敵なことだわ…。

「…瑠璃子さんは清瀧先生の妹さんなんだよ」
藤木にそっと説明され、紗耶は驚いた。
「え?
そうなんですね…!」
柊ちゃんと親しげに呼んでいた訳はそれだったのかと…。
…けれど、目の前の瑠璃子はまるで砂糖菓子で作られたような大変甘やかで愛くるしい貌立ちをしているが、端正に整った容貌の清瀧とはあまり似ている印象はなかった。
全く違うタイプの美しさだったからだ。

「あんまり似てないでしょ?
私と柊ちゃんは腹違いの兄妹なんです」
二人の前に意外なほど丁寧な所作でお茶を置きながら、瑠璃子はいたずらっ子のように楽しげに目配せしてみせた。

…それから少ししみじみした口調で二人に語り始めたのだ。

「柊ちゃんのお母様は柊ちゃんが小さなときに亡くなって、私のママはそのあと後妻に入ったの。
それで私が生まれたから、柊ちゃんはもうその頃大学生とかで…だからすごく可愛がってもらったんです。
…ママとパパは二十歳以上歳が離れていて…でもとても仲良しだったわ。
パパはママをすごく大切にしていたし、ママはパパを尊敬していて、何でもパパに相談していた…。
パパにいつも守られていて、幸せそうだった。
…パパは私が幼稚園の時に飛行機事故で亡くなってしまったけれど、ママは未だにパパを特別に思っているわ。
…ママは最近再婚したのだけれど、ぎりぎりまで入籍することを迷っていたの。
やっぱりパパに申し訳ない…て。
私が今あるのはパパのおかげなのに…て」
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