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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「…そうなんですか…」
紗耶は思わず瑠璃子の話に引き込まれた。
…歳の差のあった夫婦…再婚…。
どれも今の紗耶には身近に感じられることばかりだったからだ。
「でもね、その時ママに正式な再婚を勧めたのは柊ちゃんなの」
「清瀧先生が?」
藤木が意外そうに端正な眉を上げた。
「ええ。
…母様はもう充分に父様とこの家に尽くしてくれました。
これからは母様の好きなひとに人生を捧げて下さい…て。
瑠璃子のことは僕が責任を持って見守りますからご心配なさらないで下さい…て」
「…まあ…」
紗耶は思わず声を上げた。
不意に瑠璃子は今までの無邪気で、どこか甘えた表情を改めた。
そうして真剣な眼差しで二人を見つめた。
「柊ちゃんはとても優しいひとなんです。
…もしかして、柊ちゃんは藤木さんに厳しい態度を取ったかもしれないけれど、それは藤木さんたちを思ってのことだと思うの。
だから…許してあげて下さい」
清瀧から事前に二人の話を聞いていたのだろう。
明るく、はしゃいだように二人を迎え入れたのは瑠璃子なりの気遣いだったのかもしれない。
「…瑠璃子…」
涼太が包丁を止め、瑠璃子を見つめていた。
その眼差しはとても温かなものであった。
「ありがとうございます。瑠璃子さん。
大丈夫ですよ。
柊司くんのお気持ちは充分伝わっております。
むしろ、感謝の気持ちで一杯なのです。
…優しい妹さんがいらして柊司さんはお幸せですね」
穏やかな藤木の言葉に、瑠璃子は嬉しそうに小さく笑った。
そうして再び、大きな瞳をお茶目に輝かせ…
「やだ!私ったら、まだメニューも差し上げないで!
…ていうか、お任せでいいですか?
涼ちゃんの作るお料理はなんでも美味しいから。
ね?」
と、悪戯っぽく微笑んだ。
「…ったくお前はもう…」
涼太は困ったように首を振った。
藤木と紗耶は貌を見合わせ、楽しげに笑った。
「…ええ。お任せで構いませんよ。
楽しみにお待ちしています」
藤木はそう答えると、そっと紗耶の手を握り締めたのだった。
紗耶は思わず瑠璃子の話に引き込まれた。
…歳の差のあった夫婦…再婚…。
どれも今の紗耶には身近に感じられることばかりだったからだ。
「でもね、その時ママに正式な再婚を勧めたのは柊ちゃんなの」
「清瀧先生が?」
藤木が意外そうに端正な眉を上げた。
「ええ。
…母様はもう充分に父様とこの家に尽くしてくれました。
これからは母様の好きなひとに人生を捧げて下さい…て。
瑠璃子のことは僕が責任を持って見守りますからご心配なさらないで下さい…て」
「…まあ…」
紗耶は思わず声を上げた。
不意に瑠璃子は今までの無邪気で、どこか甘えた表情を改めた。
そうして真剣な眼差しで二人を見つめた。
「柊ちゃんはとても優しいひとなんです。
…もしかして、柊ちゃんは藤木さんに厳しい態度を取ったかもしれないけれど、それは藤木さんたちを思ってのことだと思うの。
だから…許してあげて下さい」
清瀧から事前に二人の話を聞いていたのだろう。
明るく、はしゃいだように二人を迎え入れたのは瑠璃子なりの気遣いだったのかもしれない。
「…瑠璃子…」
涼太が包丁を止め、瑠璃子を見つめていた。
その眼差しはとても温かなものであった。
「ありがとうございます。瑠璃子さん。
大丈夫ですよ。
柊司くんのお気持ちは充分伝わっております。
むしろ、感謝の気持ちで一杯なのです。
…優しい妹さんがいらして柊司さんはお幸せですね」
穏やかな藤木の言葉に、瑠璃子は嬉しそうに小さく笑った。
そうして再び、大きな瞳をお茶目に輝かせ…
「やだ!私ったら、まだメニューも差し上げないで!
…ていうか、お任せでいいですか?
涼ちゃんの作るお料理はなんでも美味しいから。
ね?」
と、悪戯っぽく微笑んだ。
「…ったくお前はもう…」
涼太は困ったように首を振った。
藤木と紗耶は貌を見合わせ、楽しげに笑った。
「…ええ。お任せで構いませんよ。
楽しみにお待ちしています」
藤木はそう答えると、そっと紗耶の手を握り締めたのだった。

