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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
瑠璃子の言葉通り、涼太の作る料理はどれも美味しかった。

…平目やはまちにとこぶし、伊勢海老のお造りに、この辺りの郷土料理だという鯵のなめろう。
金目鯛の煮付け、冬野菜を使った海鮮鍋、車海老の天麩羅と、素朴ながら素材の良さを活かした心尽しの料理は全て驚くほど美味であった。

そう伝えると
「若い頃に調理師免許は取ったんですけどね、あとはずっと船に乗りっぱなしで…。
最近、厨房に立つようになったから、まだまだなんです。
お袋や親父の見よう見まねですよ」
照れたように謙遜したのだ。

今夜は宿泊客もいないようで、食堂は二人だけの貸切状態であった。
瑠璃子の手作りだというアイスクリームを載せた林檎のコンポートを食べながら四人はまるで、旧知の仲のように語り合った。

「瑠璃子さんは民宿の女将さんなんでしょう?まだお若いのに…」
紗耶が尋ねると
「私、大学卒業と同時に涼ちゃんとこに押しかけ女房しちゃったから、それからずっと民宿を手伝わせてもらっているんです。
お義母さんもお義父さんもお元気だけれどもうお年だから、ゆっくりしてほしくて…。
涼ちゃんのご両親は魚屋さんも経営しているから忙しいんです。
私も時々、お店に出ているんですよ」

「俺は就職しろって散々言ったんですけどね。
折角大学卒業したのにもったいねえからって。
けど、頑固で言うこと聞きゃあしねえ」
藤木にビールを勧めながら、涼太がぼやいた。

「いいじゃないですか。
会社に就職するのがすべてではありませんよ。
やりたいことがあってそれが出来る環境があるのならこんなに良いことはありません。
瑠璃子さんの明るい性格は接客業に向いていると思いますよ」
藤木にそう言われ、瑠璃子は嬉しそうに笑った。
「紗耶さんの彼氏、話がわかるね」
と紗耶に囁き
「私、最近は週に一回コミュニティセンターで小さな子どもたちにクラシックバレエを教えているんです。
この町にはバレエ教室がなかったから、バレエをやりたい子は遠くのお教室にいかなくてはならなくて…。
で、私がずっと通っている横須賀の先生のアドバイスももらって始めることにしたんです。
…それから澄佳さんと共同でハンドメイドのアクセサリーや小物の通販サイトも始めて…。
結構好評なんですよ」
瑠璃子は意外に遣り手のようだ。


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