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異邦人の庭 〜secret garden〜
第3章 コンテ・ド・シャンボールの想い人
大広間は今までにない驚きと緊張感に包まれた。
…政彦は普段穏やかで、物静かに他人の意見や話を聞く性質の男だ。
その様は、日々大銀行の経営戦略に携わる精鋭なバンカーとは思えないと囁かれるほど優しげな控えめなものだった。
しかも分家の出身を弁えている男なので、公の場で…ましてや本家当主の千晴に激しく物を申すことなど決してしない性分の筈だった。

それが今、まるで別人のように当主の千晴に食ってかかりそうな勢いなのだ。
親族たちが驚くのも無理はなかった。

「それに…。
…率直に言わせていただくと、千晴。
なぜ紗耶なのだ?
君は紗耶の何を知っているというのだ?
この一族には、他にも君に相応しい花嫁候補のお嬢さんはたくさんいるだろう?
…何もまだ高校生の…何も知らない幼気な紗耶にプロポーズしなくても…」

「紗耶ちゃんでなくては駄目なのです。
…政彦兄さん」
千晴はかつて幼い頃、政彦を「兄さん」と言って慕っていた。
千晴の中学受験の時は、政彦が家庭教師をしていたほど、二人の関係は親密だったのだ。

かつての呼び名で呼ばれ、政彦は一瞬押し黙る。

千晴はその夜の湖のように澄み切った瞳で政彦を見つめ、繰り返した。
「僕の花嫁は、紗耶ちゃんでなくてはならないのです。
政彦兄さん」


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