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異邦人の庭 〜secret garden〜
第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ
湯上がりに、澄佳が持たせてくれた白い綸子の夜着を纏い、白い三尺帯を結んだ。
…まるで花嫁様みたい…。
そう思い、頰を赫らめる。

澄佳が持たせてくれたバッグの中には新品の化粧品も入っていた。
本当に心遣いのひとだと感動する。

…化粧水と乳液を塗り、薄く白粉を叩く。
椿の花の色の京紅を少しだけ塗った。

生乾きの髪に柘植の櫛を丹念に通す。

年代物の鏡に映る自分は、大人びた…微かに艶めいた表情に見えた。

「…花嫁様…か…」
…なれるのだろうか…
あのひとの、特別に…。

鏡の中の自分の紅い口唇にそっと指で触れ…、小さく息を吐く。

…なれるわ…。
あのひとを、愛しているのだもの…。

鏡の自分に宣言をした。

そうして紗耶は、藤木を探しに暗い廊下を歩み出した。
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