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第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「…紗耶は…？
どんな子どもだったの？」
「…え？
…私？」
紗耶は長い睫毛を瞬かせた。

「君の話が聞きたい」
榛色の美しい瞳が、紗耶を包み込むように見つめていた。

「…私の…？」

男が頷き、甘く熟れた果実のような温度で囁いた。
「君の話が聞きたい。
君のことをもっともっと知りたい。
…君がどんな少女だったのか…どんな風に育ってきたのか…。
知りたいことだらけだよ…」

…寝室でね…。

艶めいた声でそう付け加えると、軽々と紗耶を横抱きに掬い上げ、歩き出した。

「…あ…」

…深い深い森に咲く百合と、ひんやりとしたモッシーの薫りが、再び微かに纏わりつく…。

紗耶はぎゅっと身を縮めると、男の引き締まった胸に貌を埋め…そっと眼を閉じたのだ。