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第15章 カーネーション・リリー・リリー・ローズ

「…あ…っ…」

そっと降ろされたのは、隣室の和室の褥の上だ。

いきなり、愛の営みを感じさせる場所に移動させられ、紗耶は身を堅くした。
藤木は紗耶と添い寝するように横たわる。
温かく引き締まった成熟した大人の身体を身近に感じる。
…こんなに、藤木先生と密着するのも初めてだ。

「…大丈夫…。
君をこわがらせるようなことはしないよ…」
そのまま、額に優しいキスを落とされる。

寝具に横になると、藤木は腕枕をして紗耶を見つめた。
優しく髪を撫でながら、尋ねる。
「…紗耶はどんな子どもだったの？」

「…話しても良いけれど…お母様と千晴お兄ちゃまのお話がたくさん出てくるわ…」
特に紫織の話には…藤木の反応が気になる。
紗耶はやきもちを焼きたくなるかも知れない。
…千晴のことは…
藤木は嫉妬してくれるのだろうか…。
とても気になる。
…嫉妬、してくれたらいいな…と、密かに思う。

「構わないよ。
それもすべて紗耶の一部だ。
僕にはすべてが愛おしい…」

藤木の返答は大人だった。
ふっと力が抜け、気持ちが楽になる。
だから紗耶は、男の腕枕に甘えるように話し始める。

「…私…すごく泣き虫で、すごく甘えん坊な子どもだったわ」